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"井戸の謎と、睡眠薬入りの水" 第8話

勇気の結婚が決まり、け太郎と共に堵とびを分かちっていた状況から転。しみと慌たださに全て塗り替えられる。通夜や葬儀の段取り、親戚への連絡と確認事項。純粋に泣く暇さえなく、私たちは慌ただしくき続けた。

そんなで勇気だけがどこか別のきている。彼はしむそぶりもなく、通夜の言い捨てたのだ。

「タイミング悪すぎだろう。僕の結婚の期と被るとか、正直気持ち悪いんだけど。そういやじいちゃんも僕が就活で変なだったよな。何なんだよとも」

を疑った。同じ根ので暮らしてきた祖母のに対して、こんな言葉がるだろうか。

「何を言ってるの?」

わず声が震える。勇気は肩をすめるようにして、めんどくさそうに続けた。

「だって縁起悪いじゃん。素直なを述べたまでだけど」

攻める相がいないことは分かっているはずだ。それでも彼は満をぶつける先を探しているようだった。

「というか、最の煮物もあれ変じゃなかった?」 「そんなことなかったわよ」 「あとさ、実は僕、毎ばあちゃんから職に持ってけって弁当渡されてたんだよ。いし好みじゃなかったけど、して残さずべてたんだ」

それがどうした? まさかこのに及んで、まだ自分は迷惑を被っていた被害者だと言い続けるつもりなのだろうか。

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わず声を荒らげそうになるが、聞くまでもなく勇気は言った。

「あれから解放されるとうとほっとしたわ。まあでも料理のがおかしくなってきたら認症とか言うな。逆に良かったのかもね。ボケるにぽっくりいってくれて」

そっと背に寒いものがる。この鳴りつけることもできた。しかし私は言葉をみ込む。勇気に何を言っても届かない気がしたからだ。来てくれた所のいと挨拶を交わすけ太郎の背をちらりと見る。

「お父さんので絶対に言わないで」

私はりを込めて勇気に告げた。

こうして通夜と葬儀を終え、ようやく常が戻り始めたある晩のことだ。、け太郎とお茶をんでいると、ぽつりと彼がにした。

「母さんも勇気もいないんじゃ、このには広すぎるな」 「ええ、私もってたわ」 「俺たちだけでむには持て余す。層取り壊すか売るか考えてもいい頃かもしれないな」

私もさく頷く。その瞬だった。

「はあ?」

からい声がんでくる。振り向くと、仕事帰りの勇気がっていた。顔はこわばり、目だけが異様にっている。

「今何の話してた?」 「いや、こののことをな、母さんもいなくなったし、これから先を……」 「ふざけるなよ!」

彼の気性が気にまり、私はわず息をのんだ。

「僕は結婚するんだぞ。

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なのにを売る、壊す? 自分たちのことしかにないのかよ」 「落ち着いて。だって結婚するからこそじゃないの。カナさんだって嫌でしょ、私たちと同居なんて」 「勝に決めるなよ! 全部そうだ。何でも勝に。父さんも母さんも僕のなんてどうでもいいんだろ」

そう言い切る目にはりと同に、被害者としての確信が宿っていた。

「僕は望んでまれたわけじゃない。楽しいことなんて何ひとつないを必きてるんだぞ」

け太郎が何か言いかけたが、勇気は聞くを持たない。

「僕ら若い世代がどれだけ変か分かってないんだよ。を持つなんてのまたなのに、僕が将来める所を勝に奪う気か!」

涙ぐみながら鳴るその姿に私は言葉を失った。あまりにも話が躍していて追いつけなかったのだ。しかし確かにのことは勇気にもを確認する必があった。もちろん彼に何も相談せずにことをめるつもりなどなく、これはあくまで夫婦の常会話の部だ。本格に話しう際にはけ太郎だって勇気を交えるつもりでいたに決まっている。それなのにここまでこじれるなんて。

「勇気の言う通りだ。ここは おでもあるからな。父さんと母さんが悪かったよ。すまない」

け太郎がげると、彼はリビングのドアを勢いよく閉めて階へとがっていった。

その夜はほとんど眠れなかったことを、私は湯ので苦々しくす。

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