"8年前の罠と、氷点下の泥まみれ" 第22話
玄関のドアがガチャリとき、スーツをビシッと着こなした藤健が帰宅した。
「パパー……! ぼくね、今もおもちゃのブロックでこんなにきなおを作ったんだよ……!」
優太が、満面の笑みで父親の元へと駆け寄った。
健は嬉しそうに屈み込み、優太を軽々といいと持ちげた。
「おっ、すごいじゃないか優太。将来は建築だな」
の楽しげな笑い声が、広々としたリビングルームにこだました。
キッチンから戻ってきた佐藤みさきは、その温かい景を見つめながら、自然とこぼれ落ちる笑みを拭おうともしなかった。
――ピンポーーーン……。
その、玄関のインターホンが優雅な音をてて鳴り響いた。
リビングの空気が、わずかにピリッと引き締まった。
玄関のモニター画面を確認すると、そこにっていたのは、数ヶの酷な姿とは打って変わって、すっかりさく老け込んだように見える「鳥会夫」――健の母親の姿だった。
彼女の顔にはい悔のシワが刻まれ、そのにはさな呂敷包みが震えるでしっかりと握りしめられていた。
「……母さんを、入れるか……?」
健が、しだけそうな顔をしてみさきに線を向けた。
佐藤みさきは、しばらくの、じっとそのモニター画面を見つめた。そして、穏やかな笑みを浮かべてゆっくりと首を縦に振った。
広告
「……入れてあげましょう、健さん。おばあちゃんだもの……優太にとっても、血の繋がったたったの、かけがえのないおばあちゃんなんだから」
健はく息を吐きし、静かに玄関のドアをけにった。
ドアの向こうで、鳥会夫は、かつての傲な財閥の威を完全に失ったみすぼらしい老の姿のまま、そのでガクッと両膝をへと突いた。
そして、嗚咽を漏らしながら、声を震わせて言った。
「……みさき……本当に、本当にすまなかった……! 私の狂った愚かさが、おたちをあんな獄に……!」
みさきは、その老のにゆっくりと歩み寄り、自らので彼女の肩を優しく支え起こした。
「……もう、過のことはいいのです。これからは……族みんなで、仲良く穏やかに暮らしていきましょう」
その言葉を聞いた瞬、鳥会夫はみさきの体にしがみつくようにして、子供のように声をげて泣きじゃくった。
窓のでは、のよいに乗って、満の美しい桜吹がピンクのびらを優しくい散らせていた。
(収束:温かいの陽気の、かつてのすべての傷跡が癒やされ、真の族のがきす。/过渡:物語の結びとして、辛いを越えた族の姿と、への静かな祈りが優しく綴られる。)
京の空はどこまでもく、澄み切っていた。
かつてので最も寒かった、あの絶望なの嵐は完全に過ぎり、目のにはどこまでも穏やかで美しい「希望の季節」
広告
が広がっていた。
藤健は、リビングのソファに腰掛けている佐藤みさきの背にそっと優しくを回し、その肩を抱き寄せた。
その元では、すっかり元気を取り戻した優太が、しいおもちゃのロボットをに持って楽しそうにね回っている。
「――パパ、ママ、好き……!」
優太が無邪気な笑顔で両親を見げた。
健とみさきは顔を見わせ、からのい笑みを交わした。
という途方もなくく、あまりにもたかった暗の。しかし、その獄のような苦しみを共に耐え抜いたからこそ、今こうしてに入れた「族の絆」は、何者にも引き裂くことのでえない、世界で番固で美しいものとなっていた。
窓のから吹き抜けてくるのは、これ以ないほど温かく、未来へと続くしいの扉を静かに優しく押しいていた。