"50万円の化け物屋敷を買った孤児" 第2話
ケ太は答えませんでした。マキは倉庫の方を顎でさしました。
「そこに布団がある。今はそこで寝ろ」
「はい……」
「も皿洗いをさせる。飯はしてやるから働け」
ケ太の目がきくなりました。
「本当ですか?」
「嘘をつく力も残ってないわ。くって寝ろ」
その夜、ケ太は倉庫の隅に丸くなって横たわりました。古い布団からは豚汁の匂いがしましたが、久しぶりに温かい所で眠ることができました。
数が経ちました。ケ太は単に皿洗いをするだけではありませんでした。蔵庫をけて材料を確認すると、マキに言いました。
「おばあちゃん、豚肉の賞期限が1切れてますよ。もやしはまで丈夫です」
マキは目を丸くしました。
「私がそれをどうやってるってんだい……?」
「数えました。1に使う量と残ってる量を……」
マキは蔵庫をけて確認してみました。ケ太の言った通りでした。
「このガキが……」
昼になると、ケ太はさらに驚くべき姿を見せました。配膳をしながら客の席の配置を調し、いた器をげるタイミングを確にわせました。のを忙しくき回っていたマキの線が半分に減りました。
「おい、ケ太、お体何者なんだ? 12歳のガキがどうしてこんなことまでってるんだ?」
ケ太はにやりと笑いました。
「ただ、見える通りにやってるだけですよ」
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夜になると、ケ太はの隅で宿題をするふりをしていました。しかし実際には、昼に押し寄せた客たちの会話にを済ませていたのです。特に区役所の職員たちや、建設現の監督たちが交わす話を貴にメモ帳にき留めていました。
あるの夜、常連客の建設会社の鈴課が同僚と酒をみ来ました。マキが本酒を持ってきて、ケ太は隅で鉛を転がしながらをそばだてました。鈴課が声を潜めて言いました。
「今度、の方にバイパスが通るのが確定したんだ」
「本当か? それ何も噂だけだったんじゃないのか?」
「今回は確実だ。でも問題があってな……」
「なんだ?」
「そこに悪命い幽霊敷が1つあるんだ。10も売れ残ってる厄介者だよ」
ケ太の鉛が止まりました。メモ帳に素く何かを描きつけていきました。
その夜、マキは敷の配で眠れませんでした。倉庫から寝返りを打つ音が聞こえたかとうと、ケ太がこっそりづいてきました。
「おばあちゃん、寝ないの?」
「おこそ、どうして寝ないんだ?」
ケ太はマキの隣にどさっと座りました。にはメモ帳とくしゃくしゃになった図が握られていました。
「おばあちゃん、話があります」
「なんだ、こんな夜に……」
ケ太はメモ帳を広げて見せました。びっしりとかれた文字と数字が、暗いかりのに浮かびがりました。
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「このの敷は諦めてください。あのの端にある幽霊敷を買いましょう」
マキは眉を潜めました。
「何? 幽霊敷を……?」
「はい。あそこで豚汁定をやれば、1でビルが建てられます」
マキはケ太の顔をじっと見つめました。暗いかりの、ケ太の目がキラキラと輝いていました。12歳の子供の目つきではありませんでした。何も眠れない夜を過ごしたマキは、ケ太の言葉を反芻し、また反芻しました。
の幽霊敷だなんて馬鹿げた話でした。まさかそんなところを買うなんて……。マキは汁をかき混ぜながら独り言を漏らしました。ケ太は起きがるを止め、顔をげました。
「おばあちゃん、考えましたか?」
「考えるもんか! 戯言はよせ!」
「戯言じゃありません!」
ケ太はまな板のに包丁を置き、マキのにづきました。
「おばあちゃん、ここの敷3倍にげろって言われたんでしょう? そのお、どこで調達するんですか?」
マキのが止まりました。
「どうせこのは守れません。追いされたらくところもないし……」
「こら、このガキ!」
マキはお玉を持ちげました。しかしケ太はひるみませんでした。
「おばあちゃん、膝が痛いでしょう。夜けから起きて汁を煮込んで、い鍋を運んで……あとどれくらい持ちこたえられますか?」
マキのお玉を持ったがゆっくりとろされました。
ケ太はマキのを握りました。
「僕に任せてください。