"50億を消した傲慢行員の末路" 第6話
「申し訳ございません……いえ、私どもにも寝にでして……事の通達など切なく……」
田が必に弁しようとするが、すぐに言葉を遮られたらしい。彼はビクッと肩をねさせ、姿勢を正した。
「は、はい……えっ、佐藤第秘様から直接、役員当てに抗議の連絡が……」
その言葉を聞いた瞬、鈴の臓がドクンときく嫌な音をてた。 先ほど自分が窓で追い返した老の姿が脳裏に浮かぶ。 (さっき聞こえましたよ。待席で誰かに『社員が15万いる』とか話で話してるの……呆きれましたね、嘘をつくにもほどがある)
鈴自がそう言って笑った嘘の話。あれは本当に、グループ全体の従業員に向けたメッセージを秘に確認していただけだったのか。そしてその秘が、つ葉のトップである専務に直接連絡を入れたというのか。
「はい……はい……えっ、窓の若い員から『2度と来るな』と……『貧乏は来るな』と侮辱されたと……」
田の声が枯れて消えそうになっていた。受話器の向こうの専務がどれほどのりに震えているか。そして、の台骨を支えてくれた顧客から、どれほど酷に切り捨てられたか。
「おっしゃる通りです……すべて私の監督届きでございます。申し訳ございません……」 「はい……はい……えっ、支の閉鎖、ですか……?」
その言に、ついに女性員の1がさく鳴をげた。
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鈴は目のが真っ暗になり、膝から崩れ落ちそうになるのを必にこらえた。
「はい、承いたしました……すぐに、当該の員を連れて……はい、本へ向かいます……」
ガチャリ、とく受話器を置く音が、静まり返ったフロアに異常なほどきく響いた。 田は数秒、虚空を見つめたままかなかった。そして、ゆっくりと顔をげ、鈴を見た。その目にはもはやりすらなかった。あるのは、すべてを失ったの虚の表だけだった。
「鈴……」
田の声は乾ききった砂のように掠れていた。 「おはさっき、『たった客1をらせただけだ』と言ったな……」
鈴は答えられない。喉が渇ききって、舌が顎に張り付いたようにかない。 「あの田会が、々に何か当な求をしたか? 利をげろと言ったか? 無茶な融資を迫ったか? ……違う! ただ、昔からの縁を切にして、このさな支に切な資を静かに預け続けてくださっていただけだ……!」
田はふらつきながらちがり、鈴の胸ぐらを掴んだ。55歳の疲れきったの腕力だったが、鈴はそれを振り払うことすらできなかった。
「おが守りたかったのは何だ!? の利益か? ……違うな! お自の、そのくだらないなりとプライドだ! 自分より学歴がくて貧しいなりのを見すことで、自分のい自尊を満たしたかっただけだ……!」
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田の言葉は、鈴のの最も見にくい部分を正確にえぐりしていた。
「お1のその傲さが、この支で働く50の員と、その族のを狂わせたんだ……! 本の専務からの決定だ。若葉町支は来を持って統・併の対象となり、事実の閉鎖となる」
周囲からすすり泣く声が聞こえ始めた。 宅ローンを抱えている者、子供の学を控えている者、親の介護をしている者――それぞれのさやかな活が、鈴のない言で音をてて崩れったのだ。
「鈴、荷物をまとめろ。今からおを連れて本庁の事部にく。処分がるまで自宅謹慎だ。いや……おそらく、懲戒解雇になるだろうな」
田はそう言うと、鈴を突き放した。 鈴はバランスを崩し、みじめな格好でに尻もちをついた。
懲戒解雇。それは員としてのキャリアの完全なをする。両親が望んだエリートのは断たれ、再就職も絶望になる。いや、業種であっても、を懲戒解雇された男を雇う健全な企業などしないだろう。
「そ、そんな……嘘だろう……」
鈴はよろよろとちがった。のが真っになり、元がふわふわと浮いているような覚に陥る。自分が今まで見してきた底辺のよりもさらにの、社会の落伍者へと転落したのだ。
本の豪華なエントランスを抜け、にるとたいがまだり続いていた。