"50億を消した傲慢行員の末路" 第22話
鈴が青ざめた顔で泣きつきながら「なんとかしてください」と言ってきた自然な契約。それをるみにせば自分の支としての評価にきな傷がつく。あと数で定退職を迎え、無事に退職を満額もらうためだけに、田はことなかれ主義を貫き、老夫婦の鳴を目殺して類を改ざしたのだ。
「それは……私は鈴に騙されていただけで、彼が勝にやったことで……」 「見苦しい言い訳はやめてください」 監査部の男の声は容赦なく田の言葉を切り捨てた。 「警察にはすでにあなたが鈴と隠蔽の相談をしている音声データが提されています。田グループの顧問弁護士団が探偵事務所を使って徹底に洗いしたそうです。完璧な証拠ですよ」
田の目のが真っ暗になった。 音声データ……体どこで? 誰がそんなものを? いや、そんなことはもうどうでもいい。なのは、自分が完全に終わったという事実だ。田会は、鈴の無礼な態度にっただけではなかった。彼が過に自分たちの恩である渡辺様夫婦のを破壊していたこと。そして、がそれを組織に隠蔽していたこと。その腐り切った体質そのものを社会に抹殺しに来たのだ。
監査部の男は無慈に決定事項を告げた。 「田、あなたは本付けで懲戒解雇となります。
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当然、退職は全額支。さらに、渡辺様への2000万円の賠償と当の信用を極に失墜させた損害賠償として、側からあなた個に対しても数千万円規模の訴訟を起こす準備をめています。すでに、ご自宅の差し押さえの続きも始しました」
「あ……ああっ……!」 田のから魂が抜けたようなうめき声が漏れた。 30以、ただひたすら司の顔を伺い、波をてないようにきてきた。すべては定に妻と2でのんびりと温泉旅にき、穏やかな老を過ごすためだった。妻はいつも、「あなた、毎お疲れ様。あとしの辛抱だからね。退職したらし贅沢しましょうね」と笑顔で弁当を作ってくれていた。
その妻の優しい笑顔が、今のでガラガラと音をてて崩れっていく。 退職はゼロ。それどころか、巨額の借を背負い、最悪のは逮捕されるかもしれない。かけて老を支えてきたマイホームも失う。老のさやかなどころか、きていくための台すら完全に消滅してしまったのだ。
「私が……私があの、自分の保にらなければ……あの老夫婦のSOSから目を背けなければ……!」 田は机にすがりつき、ボロボロと粒の涙をこぼしながら泣き崩れた。 しかし、どれほど血を吐くような悔の涙を流しても、過を変えることはできない。
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自分が自分のと保のために見捨てた者の絶望が、今何倍にも膨れがって、自分自のを押しつぶそうとしていた。
「荷物をまとめてください。警察の事聴取が待っています。奥様にはご自から連絡を……」 監査部の男の言葉に、田はただ力なく頷くことしかできなかった。 これから妻にどんな顔をしてこの事実を伝えればいいのか、像するだけで発狂しそうだった。自分のさな見栄とことなかれ主義が、まさか自分のすべてを破滅させるとは――。 50代半ばにしてすべてを失った男の背は、痛々しいほどにさく、そしてれだった。
しかし、この田グループという巨な嵐が巻き起こした恐怖は、まだ終わりではなかった。 鈴の逮捕と田の失脚は、さらにの、つ葉の本枢、そして鈴を庇護の具としていた母親・り子の元へと、容赦ない絶望をもたらそうとしていたのだ。
「現、関連企業30社から当座預の解約とメインバンク変更の申しが来ております。さらに受け企業にもその波は広がり、流資の総額はすでに1000億円を突破しました」
本最階の役会議。巨なマホガニーの机を囲む10数の役員たちは誰も言も発することができず、ただうつろな目で元の資料を見つめていた。
報告をう事部の声だけが、葬儀のように静まり返った部に虚しく響いている。