"50億を消した傲慢行員の末路" 第31話
「健太ねえ、何て言われたの? から復帰できるのよね……?」 状況が理解できず、縋るような声で問いかけてくる母親の顔。鈴は絶望の縁から見つめした。そのだった。ピンポーーーン……。 静かなマンションの部に、玄関のインターホンがたく鳴り響いた。
「あら、誰かしら、こんなに……」 り子は脳気にちがり、モニターの画面を覗き込んだ。そして議そうに首をかしげた。 「健太、スーツを着た男のが3ってるわ……なんか、警察帳みたいなのを見せてるんだけど、あんた、何か落とし物でもしたの?」
その言葉を聞いた瞬、鈴の界は完全に真っ暗になった。 逃げなど、どこにもない。 自分が底辺だと見し、騙し、嘲ってきた者たちのいが、今、巨な鉄槌となって鈴のに振りろされたのだ。
鈴健太が逮捕された。その報は翌朝のつ葉若葉町支に、爆弾のような衝撃をもたらした。 シャッターが閉まったままの暗いフロアで、勤してきた員たちは皆言葉を失い、ち尽くしていた。
「詐欺と私文偽造って……鈴君がそこまでやってたなんて……」 窓の堅員である伊藤が、青ざめた顔で元を抑える。の員たちも、昨まで同じフロアにいて偉そうにふんぞり返っていた同僚が犯罪者になったという事実に、震えが止まらない様子だった。
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しかし、そので誰よりもい絶望の淵にたされていたのは、支の田浩司だった。 支の奥で、田は自分のデスクのに力なく座り込んでいた。目のには、本から派遣されてきた氷のようにたい目をした監査部の男たちがっている。
「田、鈴の容疑について警察から当へ詳細な報告と捜査への全面協力の請がありました」 監査部の男がテーブルのにどさりと分いファイルの束を置いた。田の臓が発のように打ち始める。 「3、鈴が別の支からここへ移してくる直に扱った渡辺様という齢顧客の投資信託の契約。これについて当の担当者である鈴と、直属の司であったあなたが元本割れの事実を隠蔽し、私文に増して顧客の老資1000万円を溶かした。この報告の内容に違いはありませんね」
田の喉がヒュッとなった。3のあの暗い記憶。鈴が青ざめた顔で泣きつきながら「なんとかしてください」と言ってきた自然な契約。それをるみにせば自分の支としての評価にきな傷がつく。あと数で定退職を迎え、無事に退職を満額もらうためだけに、田はことなかれ主義を貫き、老夫婦の鳴を目殺して類を改ざしたのだ。
「それは……私は鈴に騙されていただけで、彼が勝にやったことで……」
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「見苦しい言い訳はやめてください」 監査部の男の声は容赦なく田の言葉を切り捨てた。 「警察にはすでにあなたが鈴と隠蔽の相談をしている音声データが提されています。田グループの顧問弁護士団が探偵事務所を使って徹底に洗いしたそうです。完璧な証拠ですよ」
田の目のが真っ暗になった。 音声データ……体どこで? 誰がそんなものを? いや、そんなことはもうどうでもいい。なのは、自分が完全に終わったという事実だ。田会は、鈴の無礼な態度にっただけではなかった。彼が過に自分たちの恩である渡辺様夫婦のを破壊していたこと。そして、がそれを組織に隠蔽していたこと。その腐り切った体質そのものを社会に抹殺しに来たのだ。
監査部の男は無慈に決定事項を告げた。 「田、あなたは本付けで懲戒解雇となります。当然、退職は全額支。さらに、渡辺様への2000万円の賠償と当の信用を極に失墜させた損害賠償として、側からあなた個に対しても数千万円規模の訴訟を起こす準備をめています。すでに、ご自宅の差し押さえの続きも始しました」
「あ……ああっ……!」 田のから魂が抜けたようなうめき声が漏れた。 30以、ただひたすら司の顔を伺い、波をてないようにきてきた。