"50億を消した傲慢行員の末路" 第32話
すべては定に妻と2でのんびりと温泉旅にき、穏やかな老を過ごすためだった。妻はいつも、「あなた、毎お疲れ様。あとしの辛抱だからね。退職したらし贅沢しましょうね」と笑顔で弁当を作ってくれていた。
その妻の優しい笑顔が、今のでガラガラと音をてて崩れっていく。 退職はゼロ。それどころか、巨額の借を背負い、最悪のは逮捕されるかもしれない。かけて老を支えてきたマイホームも失う。老のさやかなどころか、きていくための台すら完全に消滅してしまったのだ。
「私が……私がああの、自分の保にらなければ……あの老夫婦のSOSから目を背けなければ……!」 田は机にすがりつき、ボロボロと粒の涙をこぼしながら泣き崩れた。 しかし、どれほど血を吐くような悔の涙を流しても、過を変えることはできない。自分が自分のと保のために見捨てた者の絶望が、今何倍にも膨れがって、自分自のを押しつぶそうとしていた。
「荷物をまとめてください。警察の事聴取が待っています。奥様にはご自から連絡を……」 監査部の男の言葉に、田はただ力なく頷くことしかできなかった。 これから妻にどんな顔をしてこの事実を伝えればいいのか、像するだけで発狂しそうだった。
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自分のさな見栄とことなかれ主義が、まさか自分のすべてを破滅させるとは――。 50代半ばにしてすべてを失った男の背は、痛々しいほどにさく、そしてれだった。
しかし、この田グループという巨な嵐が巻き起こした恐怖は、まだ終わりではなかった。 鈴の逮捕と田の失脚は、さらにの、つ葉の本枢、そして鈴を庇護の具としていた母親・り子の元へと、容赦ない絶望をもたらそうとしていたのだ。
「現、関連企業30社から当座預の解約とメインバンク変更の申しが来ております。さらに受け企業にもその波は広がり、流資の総額はすでに1000億円を突破しました」
本最階の役会議。巨なマホガニーの机を囲む10数の役員たちは誰も言も発することができず、ただうつろな目で元の資料を見つめていた。 報告をう事部の声だけが、葬儀のように静まり返った部に虚しく響いている。
「また、昨夜若葉町支の鈴健太が警庁捜査課によって詐欺及び私文偽造の容疑で逮捕されました。さらに、当の支であった田浩司も、隠蔽の共犯として任の事聴取を受けております」
その言葉に、役員の1がを抱えてうめき声をあげた。 「1000億の流に、員の詐欺逮捕……しかも被害者はあの田グループの御だと言うじゃないか。
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もう終わりだ、融庁の査察が入るのはの問題だぞ」 「そもそも、なぜ1回の支がそんなな犯罪をもみ消せたんだ? コンプライアンス部は何をしていたんだ?」
責任のなすりつけいが始まろうとした、座に座る専務がどんと机を叩いた。 「静かにしろ! 今更過の隠蔽をほじくり返して言い争っても無だ。問題は田誠会の向だ」
専務は血った目で役員たちを見回した。 「田グループは今回の件に関して、マスコミに対して切の声をしていない。メディアに報をリークすることもなく、ただ静かに々から資を引きげているだけだ。それが何をするか、分かるか?」
役員たちは息をんだ。 「もし田会が本気で々を潰す気なら、記者会見をいて々にの正を糾弾することもできたはずだ。しかしあの方はそれをしない。ただ無言で、関連企業と共に々を見限った。これは抗議ではない、完全なる『見切り』だ」
見えない巨なの恐ろしさに、役員たちの背筋にたい汗が流れた。 騒ぎてて攻撃してくる敵なら、反論や弁名の余もある。しかし田グループはただ無言で、圧倒な経済力という名の兵糧攻めをっているのだ。相がきすぎて、どこに謝罪にけばいいのか、どうやって許しを乞えばいいのかすら分からない。