"50億を消した傲慢行員の末路" 第33話
々は触れてはならない巨な逆鱗に触れてしまったのだ。
「若葉町支点は予定通り即閉鎖。田と鈴については当として切の弁護をわず、厳正に切り捨てる。それしかががき残るはない」
専務の力い決断に、反対する者は誰1としていなかった。
方、その頃、都内の級マンションのでは、鈴の母親であるり子が真っ暗なリビングのにへたり込んでいた。 昨夜の景が何度も何度も脳裏にフラッシュバックする。 ――「鈴健太さんですね。同をお願いします」 突然訪ねてきたスーツ姿の男たち。彼らが警察帳を見せた瞬、り子のは真っになった。 錠こそかけられなかったものの、青ざめた顔で連されていく息子の背。
「嘘よ、嘘よ……健太、エリート員が警察に捕まるなんて……!」 り子は信じられないまま朝を迎え、ボサボサの髪で虚空を見つめていた。
その、玄関のポストに聞が投函される「ガチャン」という音が響いた。り子はビクッと体を振わせた。 もし聞に息子の名が載っていたら、もしニュースになっていたら――。 恐怖に震えるでちがり、そっと玄関のドアを数センチだけけた。誰にも見られないように素く聞を取って引き返そうとしたそのだった。
「あら、鈴さん、おはようございます」
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ふいに声をかけられ、り子の臓がねがった。ドアの隙から見えたのは、隣にむだった。 つい先、り子が息子が病院の院令嬢とお見いをするのよと自話をしてマウントを取ったばかりの相だ。
「あ、おはようございます……」 り子は引きつった笑顔を作り、急いでドアを閉めようとした。しかしはドアの隙にすっとを入れ、閉まるのを阻止した。
「鈴くん、昨夜随分と騒がしかったですね。警察のがとまっていて、スーツ姿のたちがけ太君を連れてくのを見ってマンションの管理さんが言ってましたけど……」
の声は配しているような音を装いながらも、その奥には隠しきれない好奇と、暗い優越がねっとりとへりついていた。
「えっ、あ、あれは、その……何かの違いで、ただの仕事の確認というか……」 「仕事の確認で警察が来るんですか?」
はくすっとさく笑った。 「そういえば、神崎病院の奥様から聞いたんですけど……健太くん、婚約破棄になったそうですね。それどころか、も懲戒解雇になったとか……詐欺の疑いがあるって、奥様すごくってらっしゃいましたよ」
り子の顔からすべての血の気が引いた。なぜがそこまでっているのか。
「ご所の奥さんたち、みんな配してますよ。あんなに自のエリートの息子さんだったのにねって。
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あ、うちの息子は昨、商社でしくプロジェクトのリーダーに抜擢されたんですよ。平凡な子ですけど、真面目に育ってくれて本当に良かったわ」
のその言は、り子のプライドを完全に砕する致命な撃だった。
「ああ……!」 り子はドアノブを掴んだまま、そのに力なく崩れ落ちた。 自分が1番見していた相から、同と軽べつの目で見ろされている。流エリートという自分のを支えていた虚栄のが、ガラガラと音をてて崩れっていく。
「じゃあまた、何かお困りのことがあったらいつでも言ってくださいね。嘘つきになられた息子さんの再職先、うちの主に頼んで探しましょうか?」
のるい声がざかる音と共に消えていったもり子はたい玄関の叩きに座り込み、声にならない嗚咽を漏らし続けていた。 世という呪縛に囚われたれな母親は、自分が最も恐れていた「見される側」へと永に転落したのだ。
同じの午、たいががり、澄み切った青空が広がった。 田グループの本社ビル最階の執務で、田誠は窓際にち、静かにの景を眺めていた。元には杯の温かい緑茶がある。
「会、お疲れ様でございました」 背から第1秘の佐藤が静かに声をかけた。彼のには、いつものように数の類が握りしめている。
「つ葉からの資引きげはグループ全体でほぼ完いたしました。