"50億を消した傲慢行員の末路" 第39話
「すでに配済みでございます。30分には元検事の肩を持つトップチームが全員この部に集結いたします」
佐藤は鏡の奥の目を鋭くらせ、く礼した。私に使えてきた彼は、私のりの沸点を誰よりも正確に理解している。
私はテーブルのに置かれた渡辺さん夫婦の写真をと震えるでそっと撫でた。 30、私のが倒産の危をしそうになり、文字通り首を吊る寸まで追い詰められた夜のことだ。の、軽トラに積みの資材を積んで駆けつけてくれたのが、この写真に映る渡辺さんだった。
「田さん、これ使ってくれ。はあんたが本の会社になったに、利子つけて返してくれたらそれでいいからよ」
だらけの顔でニカッと笑ってくれたあの笑顔。あの夜の資材があったからこそ、私たちは納期ににわせ、会社の危を切り抜けることができた。私にとっては、渡辺さんはを向けて寝ることすらできない、命の恩なのだ。
あの鈴という男は、相が融の識を持たない齢者だと見定めて「絶対に損をしない」と嘘をつき、退職と老資の2000万円を巻きげたのだな。
「はい。報告によれば、当から認症の初期症状があった奥様のにつけ込み、引に契約に捺印をさせていたようです。
広告
結果として資は数ヶで溶け、渡辺様ご夫婦はんでいたまで放すことになりました」
佐藤の報告を聞く度に、胸の奥で煮えたるようなりが膨れがっていく。 「そして、つ葉は事実をりながら警察には届けず、顧客の自己責任による投資の失敗として隠蔽した……違いないか?」 「違いありません。当の支が自分の評価をげることを恐れ、内部でもみ消しました。その証拠となる支と鈴のやり取りの音声データや、改ざされた内部資料のコピーもすでに探偵事務所が確保しております」
「そうか……」 私はゆっくりとちがり、窓のを見ろした。が切れ、わずかに夕がを照らし始めていた。
私個を侮辱しただけなら、縁を切るだけで済ませるつもりだった。だが、のい齢者を騙し、の善をい物にしておきながら、エリート面をしてのうのうときているなど、絶対に許すわけにはいかない。
私は佐藤を振り返った。 「佐藤、この証拠資料をすべて警庁の捜査課へ、そして融庁へ提しろ。がグループの総力をげて、鈴という男、そして正を隠蔽したつ葉の腐った体質を、完全にのにさらすのだ」
「承いたしました。容赦はいたしません」
佐藤の徹な声が、反撃の狼煙となった。
広告
方、その頃、都内にある鈴の級マンションのでは、獄のような修羅が展されていた。
「あんた……体、どういうことなのよ!」
バァンッ、と激しく玄関のドアがき、のままリビングにがり込んできたのは、鈴の母親であるり子だった。 ソファで毛布にくるまってうろたえていた鈴は、ビクッと体を振わせた。 「お母さん……」 「お母さんじゃないわよ! さっき病院の奥様から正式に婚約破棄の話があったわ。それだけじゃない、親戚のおばさんからも『健太君をクビになったんだって?』って話が来たのよ。どうして、どうしてあんたみたいなエリートが懲戒解雇なんてされるのよ!」
り子は錯乱したように叫びながら、クッションを鈴に投げつけた。 「あんたを流の学に入れて、流のに入れるためにお母さんがどれほど苦労したとってるの! おに……どれほど自の息子だったか……! それが無職……冗談じゃないわよ! 私の顔にを塗る気……!」
母親のからるのは、息子のを案じる言葉ではない。ただひたすら自分の世体が傷つけられたことに対する、りだけだった。
「うるさいな! 俺だってこんなはずじゃなかったんだよ!」 鈴はを抱えながら叫び返した。 「あの汚いじいさんが、まさか企業の会だなんて分かるわけないだろう! 俺は悪くない、運が悪かっただけだ! 体、母さんが『貧乏とは関わるな』って育てたんだろうが!」
「親に向かって答えするんじゃないわよ! 、その会のところに座しにきなさい! 絶対にお願いして首を撤回してもらうのよ。