"義母の合鍵が入らない" 第23話
俺をパニックに陥れて、親戚を巻き込んで、由を殺し扱いして……そうやって力づくで俺たちの庭を支配したかっただけだ! 違うか!?」
「健、違うのよ……! 私はただ、あんたが配で……! あの子がたいから、あんたがで……!」
義母は縋り付くように健の腕にを伸ばしました。 かつてなら、健を瞬に籠めにしてきた、あの「な母親の涙」でした。
けれど、健はそのを、ややかに払いのけました。
「配? 母さんが配していたのは俺じゃない。自分のい通りにならない息子の庭が、ただ許せなかっただけだ。由の机をのに放りした、母さんは何を考えてたんだ? 由が切にしていたティーカップを割った、母さんは胸が痛まなかったのか? のを踏みにじっておいて、どのが『親』なんて言えるんだよ!」
「あ、あれは……ちょっと片付けようとしただけで……!」
「もういいよ、母さん」
健の声から、りがすっと消えました。 代わりに落ちてきたのは、底れない疲労と、決定な諦でした。
「俺は、母さんをみたくない。今まで育ててくれたことには、から謝してるよ。でもね、俺はもうにおの子供だけのを終えて、由としい族を作ったんだ。俺にとって番守るべきは、母さんじゃない。由なんだよ」
義母は目を見張り、を半きにしたまま固まっていました。
広告
「番守るべきは、由なんだ」 その言が、鋭利な刃となって義母の胸の真んを貫いたのが、見て取れました。
、何をしても許され、何を言っても最優先されてきた「母親」という絶対な特権。 それが今、息子のから完全に剥奪された瞬でした。
「鍵は、絶対に渡さない」
健は、静かに、けれど揺るぎない声で告げました。
「このの暗証番号を教えることもない。もし、母さんが今度うちに来たいなら、最でもに俺に連絡して、俺たちの都を聞いてくれ。抜き打ちで来ても、度とこのドアはけない。……それが守れないなら、親子の縁を切る」
「健……本気なの……? 私を捨てる気……?」
義母の声は、震えて掠れていました。 先ほどまでの傲さは微もなく、そこにいたのは、ただの老いた、孤したの女性でした。
「捨てるんじゃない。れるんだよ」
健はそう言うと、元に置かれたデパートの袋を持ちげ、義母のに押し戻しました。
「京焼きも、メロンも、自分でべてくれ。病院の代は全額払っておいたから。……今は、もう帰ってくれ」
健は歩がり、玄関の敷居の内側へと戻りました。
義母は袋を抱えたまま、茫然とち尽くしていました。 彼女は何かを言い返そうとをもごもごかしましたが、健の透き通った拒絶の瞳を見て、言葉が喉の奥で詰まったようでした。
広告
叫んでも、泣いても、脅しても、もうこの男は歩も引かない。 その厳な現実が、ようやく彼女の固なプライドを打ち砕いたようでした。
義母は力なく線を落とし、さく肩を震わせました。 そして、度も振り返ることなく、引きずるような取りでエレベーターホールへと歩きっていきました。
カチャリ、ウィーン。
健がドアを閉め、スマートロックのサムターンを回した瞬、子錠が自に作し、たい属のロックが噛みいました。
界と、私たちのを隔てる、絶対な境界線が完成した瞬でした。
ドアが閉まった瞬でした。
健の体から、まるで糸が切れたかのようにすべての力が抜け落ちました。 彼は背をドアに預けたまま、ずるずると滑り落ちるようにに座り込みました。
「……はあ……っ、はあ……っ」
健の呼吸は荒く、両は膝のでガタガタと激しく震えていました。 分の呪縛を自らので引きちぎった反が、烈な虚脱となって彼の全を打ちのめしていました。 彼の額から、粒の汗がポタポタとのタイルに落ちていきました。
私はリビングから静かに歩みました。 のでち止まり、縮こまっている健を見ろしました。
健は怯えたように顔をげました。 その瞳には、堵と、激しい罪悪と、そして「これでよかったのだろうか」