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"妻を殴った外交官と2億円の空売り" 第10話

子は当、美咲の母にこう言っていた。

『親戚同士がくなれば、に支えられます』

その半、美咲と直は結婚した。

偶然にしては、あまりにも来すぎていた。

理奈の声がくなった。

「お母さん」

理奈は母を問い詰めた。

度追い込んでから、お兄ちゃんとの結婚を受け入れさせたの?」

子は目を逸らした。

「言葉を選びなさい」

子はき直ったように言った。

「企業の世界では、い会社が淘汰されるのは当然よ」

子は理奈を睨んだ。

「私たちは結果として助けたの」

理奈はため息をついた。

「つまり、やったのね」

子は何も答えなかった。

理奈の顔が青ざめた。

「美咲さんが、らないとっているの?」

その問いに、子の顔からスッと血の気が引いた。

方、ワシントンにいる美咲は、全くしい活を始めていた。

まいは、職から鉄で駅のさなコンドミニアムだった。

京の広な邸宅に比べれば、ずっと狭い。

具も最限しか置いていない。

それでも、朝に目を覚ました、誰の音にも緊張しなくていい。

美咲はコーヒーを淹れ、窓をきくけた。

くからる音が聞こえ、通りには犬を連れたがのんびりと歩いている。

美咲の予定表には、研究チームとの会議、各国のデータ確認、政策文のドラフト作成が並んでいた。

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美咲はぶりに、自分の名で呼ばれていた。

、ここのモデルについて見を聞かせてほしい」

同僚は、真剣な目で彼女の答えを待った。

で言葉を遮るは誰もいない。

妻としては分だ、などと見もいない。

難しい話はしなくていいと、へらへら笑うもいない。

の会議で、美咲は久しぶりに胸が震えるのをじた。

それは緊張ではない。

純粋なびだった。

彼女は、佐伯る半から密かに準備をめていた。

結婚も専誌を読み漁り、夜にオンライン講義を受け、以の研究仲と連絡を取り続けた。

が会の夜、事をすべて終えただけノートパソコンのに座り続けた。

国際通貨基の採用試験は、類審査、技術面接、政策提言のプレゼンテーションと続いた。

最終面接の、直は彩佳と京都へ張していた。

美咲は客の壁を背にしてオンライン面接へ入り、、確かな格の応えを得た。

それでも、すぐには婚を決められなかった。

の結婚活には、苦しいことだけでなく、穏やかな朝もあったからだ。

邪を引いた夜、彼は美咲のを握ったまま眠った。

流産の、しばらくは彼なりに美咲のそばにいてくれた。

が、完全に残っていなかったわけではない。

だから美咲は、最までつだけ待っていた。

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が、自分の族や彩佳よりも、妻の尊厳を選ぶ瞬を。

しかし、彼が選んだのは、酷な平打ちだった。

あの発は、美咲にしい傷を作ったのではない。

かけて蓄積した見えない傷を、もう隠せない確かな形にしただけだ。

美咲がワシントンへ着任して、亜美から暗号化されたファイルが届いた。

佐伯グループのファンドに関する公資料と、かつてが狙われたの取引記録を理したものだった。

美咲は結婚の頃、偶然、直斎で枚の計画を見つけていた。

『TKプロジェクト』

の株価落を提にした、悪質な投資計画だった。

作成者欄には、直の直の署名があった。

付は、会うになっていた。

当初、美咲は何かの誤解だといたかった。

族に利用され、から事実をったのかもしれないと信じたかった。

だから、で証拠を集めた。

の流れ、座、失われた契約報の所。

調べれば調べるほど、直の関与は濃くなった。

務省で経済全保障に関わる彼は、民企業の交渉に関する非公報へ接触できるにいた。

が予定していた提携が難航しているという報を、族のファンドへに漏らした能性がい。

彼らはらせ、支援を条件に結婚を利にめたのだ。

美咲がそれを確信したのは、結婚目だった。

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