"妻を殴った外交官と2億円の空売り" 第23話
は、つの関係が終わった所で止まらない。
空いた所には、仕事、友、族、自分への信頼、そしてしいがしずつ入ってくる。
窓のには、のワシントンが広がっていた。
美咲はしい政策文をき、キーボードにを置いた。
最初の文を、力く打ち込んだ。
その指に結婚指輪はない。
けれど、彼女はもう何も失っていなかった。
さらに、美咲は両親をワシントンへ招いた。
父と母にとって、初めてのアメリカ旅だった。
美咲は週末を使い、職のから国際通貨基の建物を見せた。
ポトマック川沿いをで歩き、よく利用するさなベーカリーへ両親を連れてった。
母は、美咲が員と英語で冗談を交わす姿を見て、優しく目を細めた。
「あなた、ここでは本当によく笑うのね」
その言葉に、美咲は瞬ち止まった。
「本では笑っていなかった?」
母はし寂しそうに微笑んだ。
「笑っていたわ。でも、誰かの顔を見てから笑っていた」
母は申し訳なさそうに続けた。
「私も、結婚した娘はするものだとっていたの」
母は美咲のを握った。
「あなたが苦しいと言った、もっと聞けばよかった」
美咲は母の腕へ、自分の腕を優しく絡めた。
「今聞いてくれているから、丈夫」
も、そのの夕に加わった。
父は最初こそ緊張していた。
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だが、が互いの仕事をから尊しながら話す様子を見て、しずつ表を緩めた。
事の、が両親へ真っ直ぐに向き直って言った。
「美咲さんの仕事を、誇りにっています」
は真剣な声で続けた。
「ただ、彼女が働くことを、私が許しているというではありません」
は美咲を見た。
「美咲さんのは、美咲さんのものです」
父はいを見た、く、何度も頷いた。
その夜、美咲は両親をホテルへ送り届け、とで並んで帰った。
が夜を歩きながら、正直に言った。
「し緊張しました」
美咲は笑った。
「堂々としていたわ」
は苦笑した。
「佐伯の会より、経済学者の弟様の方が怖いかもしれません」
美咲は声をげて笑った。
笑いながら、ふとった。
過の痛みは自分の部ではあるけれど、自分のすべてではない。
これから先、別のしみや失敗に会うかもしれない。
それでも、もう自分を見失わない。
誰かの言葉によって価値を決めず、されるために翼を折らず、れるべきにはれる。
その力がある限り、美咲は何度でも自分のへ帰ってこられる。
誰かのために尽くすことと、自分を消してしまうことは、似ているようで全く違う。
優しさは、相に踏みにじられるためのものではないのだ。
傷ついたを取り戻すことはできなくても、これからのを誰とどんな気持ちできるかは、自分で選べる。
美咲が最に取り戻したのは、肩きや成功だけではない。
自分の痛みを、自分で切にする力だったのだ。