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"左目を殴った夫と2200万円の離婚清算" 第6話

けれど、その朝、私は初めて異国のいた。

「夫に、殴られました」

医師は、驚く様子を見せなかった。

「今、あなたは全な所にいますか?」

私は、窓がつもない真っな診察の壁を見回した。

「まだ、分かりません」

病院をると、ロンドンの空はようやく々とるくなり始めていた。

たいが吹く、私はコップのいコーヒーを両でしっかりと持ち、広のベンチに腰をろした。

本へ戻れば、健康保険が使えて術費は確実に抑えられるかもしれない。

けれど、私が戻れば、直は必ず空港や病院へ押しかけてくるだろう。

彼は義母と緒に現れ、これをただの夫婦の問題だと周囲に囲い込むはずだ。

そして、再び逃げられないように、私のパスポートを取りげるかもしれない。

本には、絶対に戻らない。

その決だけは、微も揺らがなかった。

私は、スマートフォンの連絡先リストから、林真歩の名を探しした。

彼女は代の同級で、卒業してすぐにロンドンへ移した友だ。

今では、度、お互いの誕いお祝いのメッセージを送りう程度の関係になっていた。

私は、発信ボタンを押すまでに何度もく息を吸い込んだ。

3回目の呼びし音が鳴った、聞き慣れたるい声がに届いた。

「みさき、そっち夜じゃないの?」

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私は、震える声で答えた。

「真歩、私、今ロンドンにいるの」

話の向こうで、しばらく沈黙が続いた。

「今、どこ?」

私は、自分が座っている広の名を英語の板から読みげて伝えた。

「そこからかないで。40分でくから」

真歩は、詳しい事を尋ねるより先に通話を切った。

本当に40分ほど経った頃、彼女は鉄のからりで駆けつけてきた。

真歩はい髪をに乱し、のコートのボタンをけたまま、い息を切らしている。

彼女はベンチに座る私を見つけ、したように笑おうとした。

しかし、私の顔の半分を覆う帯と腫れを見た途端、彼女の顔から表がすっと消えった。

「誰にやられたの?」

私は、反射に「転んだ」と言いかけた。

真歩は、私の両肩を力く掴んだ。

「直でしょ」

10く会っていなくても、彼女の鋭い勘はごまかせなかった。

私は、唇を噛み締めながらさく頷いた。

真歩の目に、じわりと涙が浮かんだ。

それでも彼女は泣かず、私の元にあったスーツケースを奪い取るようににした。

こう。うちに来て。話は全な所で聞くから」

私は、力を歩く真歩の背を追いかけた。

その、私は初めて、自分がこの世界で完全にきりではないのだということをった。

真歩がんでいたのは、ロンドン部にある古いレンガ造りのさな1LDKのアパートだった。

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建物自体は季が入っていたが、窓辺には丁寧に育てられたハーブの鉢がいくつも並んでいる。

の壁には、私たちが代に撮った写真がいくつも飾られていた。

学園祭で緒にお揃いの法被を着て笑っている写真までが、褪せずに残っている。

真歩は、私を柔らかいソファに座らせ、湯気のつ温かい麦茶の入ったマグカップを持たせた。

本から送ってもらったものだから。まずこれをんで。が氷みたいだよ」

真歩は、私が救急病院でもらった薬の袋と英語の診断を素く確認した。

彼女は、すぐに自分のスマートフォンをに取り、病院へ話をかけ始めた。

ソーシャルワーカーとの相談予約の調額な術費用の分割払いの交渉、さらにはDV被害者向けの支援窓への連絡。

真歩は、の英語での説つ残らず聞き取り、メモ帳にき留めてくれた。

私は、真剣な顔で話に向かう彼女の横顔を見つめながら、何度もさな声で謝った。

「急に来て、本当にごめん」

真歩は、振り返らずに話を切りながら言った。

「謝るところ、そこじゃないでしょ」

彼女は、私に向き直って真剣な顔をした。

「3、何も言わなかったことはる。でも今は、よく逃げてきたって褒めるよ」

彼女が救急箱を取りし、私の傷の周りを丁寧に消毒してくれている、私はいた。

私は初めて、直からの暴力が今回の結婚記の夜だけではないことを言葉にして話した。

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