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完結第14話
35万円の空冷蔵庫
大晦日、妻の弓が35万円かけて用意した正月料理が、冷蔵庫から一つ残らず消えていた。 持ち去ったのは、夫・健一の母と弟。松阪牛、タラバガニ、有名料亭のおせちまで奪いながら、彼らは笑ってこう言い残す。 「明日はカップ麺でも食べてなさい」 20年間、“長男の嫁”として姑に尽くし続けてきた弓。いつか本当の家族として認めてもらえると信じ、理不尽な仕打ちにも耐えてきた。 しかし、その夜、健一は知ってしまう。食材を奪っただけでは終わらない、母と弟が5年前から隠し続けていた金の秘密を。 元日の新年会。食卓に並んだのは、豪華な料理ではなく一箱のうどんだけ。 だが、襖の向こうには親戚たちが集まり、20年間隠されてきた佐藤家の本性を静かに聞いていた――。兄弟姉妹|夫婦2.1万字5 3 -
完結第12話
欠陥品と呼ばれた歌姫
13年前、妹・恵は一枚の置き手紙を残し、夫と幼い娘を捨てて姿を消した。 「愛良はいらない。子どもを産めないお姉ちゃんにでもあげれば?」 傷ついた姪を放っておけず、桃江は妹の元夫・高也とともに、愛良を育てる道を選ぶ。血のつながりではなく、毎日の朝食と小さな約束を積み重ねながら、三人は本当の家族になっていった。 それから13年後。 美容室で桃江は、突然失踪したはずの妹と再会する。昔と変わらず、桃江を見下し、愛良を侮辱する恵。 だが直後、桃江を迎えに来た夫と、制服姿の少女を見た瞬間、妹の顔色が変わる。 彼女が捨てたものは、もう二度と取り戻せない場所にあった――。兄弟姉妹|修羅場1.8万字5 0 -
完結第12話
家族写真の左端
明治42年、信州の城下町で生糸問屋を営む高瀬家は、初めて一家そろって写真館を訪れた。 紋付き袴の父、着物姿の母と子どもたち、そして椅子に座る祖母。出来上がった写真には、たしかに家族全員が写っていた。 しかし、背景の柱のそばに、誰も知らない若い男が一人だけ立っていた。 撮影の日、その場にいたのは高瀬家の者だけだったはず。しかも男の姿は、まるで古い記憶が重なったように薄く写っていた。 写真を見た祖母は、震える声で一つの名前を呟く。 「宗吉……」 家族の誰も聞いたことのないその名前は、高瀬家が長い間封じてきた過去へとつながっていた。 なぜ、その男の存在は家族から消されていたのか。 一枚の失敗写真が、明治の商家に隠された“もう一人の家族”の真実を静かに浮かび上がらせていく。昭和|兄弟姉妹1.8万字5 0 -
完結第13話
古い工場を渡された嫁
食品会社を一代で守ってきた山代会長は、ある夜、庭で長男夫婦の会話を偶然聞いてしまう。 「お母様、これから先どれだけ生きられるかしら」 信じていた嫁が、自分の命も会社も、すでに財産として数えている――。その一言をきっかけに、会長はある決断をする。 自分は重い病にかかり、会社も危機にある。そう家族に告げ、2人の嫁に後継者を決めるための試練を与えたのだ。 華やかな長男の嫁・彩佳には会社を。 不器用で人の良すぎる次男の嫁・ユナには、地方にある廃業寸前の古い工場を。 誰もが、勝者と敗者は決まったと思っていた。 しかし3か月後、会社を手に入れた嫁と、古い工場へ送られた嫁の運命は、誰も予想しなかった形で逆転していく――。兄弟姉妹|嫁姑|相続|親子関係2.0万字5 0 -
完結第10話
「冷たい嫁」と書かれた分担表
義母の介護を一人で背負うことを断った佐和子に、夫は冷たく言い放った。 「介護をしないなら、遺産は弟夫婦に譲る」 これまで買い物も通院も掃除も、黙って引き受けてきたのは佐和子だった。それなのに、義母の家で現金が消え始めると、疑いの目は真っ先に彼女へ向けられる。 さらに見つかったのは、義母が書いたはずの《佐和子さんがしたこと》というノート。そこには、覚えのない失敗や盗みの記録が並んでいた。 本当に義母の思い込みなのか。 それとも、誰かが佐和子を“悪い嫁”に仕立てようとしているのか。 介護、遺産、家の売却、消えた薬――。 家族のために我慢し続けてきた妻が、ようやく自分の人生を取り戻すまでの物語。兄弟姉妹|嫁姑|相続|介護1.4万字5 0
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