みかん小説
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"毎日1センチ狭くなる庭" 第4話

お巡りさんは画なマニュアル通りの言葉を並べる。しかし、私が言葉を失ったその、彼が写真の杭にかれた文字——『1024』という数字に目を留めた。

その瞬、お巡りさんの表がぴたりと固まった。

「……1024……?」 彼がぽつりと呟いたさな声を、私は見逃さなかった。

「お巡りさん? 何かってるんですか? その番号……!」

「あ、いや! 何でもありません!」 お巡りさんは狼狽したようにを振ると、慌てて写真を私に押し返した。 「とにかく、もしされたり、の危険をじたらすぐに110番してください。それまでは、裁判所で仮処分申請でもしてもらうしか……」

警察すらも、あの老の名と『1024』という番号を聞いた瞬、背を向けようとする。 この町は何かがおかしい。あの老の奇の裏には、町っていてをつぐんでいる『秘密』があるのだ。

に戻ると、刻は昼を過ぎていた。 私は自分のち、隣の野寺のを見げた。 戸が締め切られた。敷の周りにはけ垣が張り巡らされ、の様子は窺いれない。

よく見ると、所の民たちがを歩く際、野寺のだけ、自然にきく迂回して反対側の歩を歩いていることに気づいた。 まるで、この2軒の敷そのものが、汚染された危険帯であるかのように。

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逃げのない孤が、私の胸を激しく締め付けた。

夫の健太は頼りにならない。 警察も自治会もいてくれない。 私はで、あの謎の老と、毎1センチずつ迫ってくる狂気にち向かわなければならないのだ。

私はノートを1冊用し、そこに記録をつけ始めた。

7目、『1024-7』。 8目、『1024-8』。 9目、『1024-9』。 10目、『1024-10』。

毎朝5。あの正確な属音とともに、杭の列は真っ直ぐのリビングの窓に向かって伸びてくる。 10センチ。たった10センチだが、庭の見た目はらかに変わっていた。然と打ち込まれた10本の太い鋼鉄杭は、まるで墓標のように無質に並び、を侵蝕していた。

そして、引っ越してきて15目の夜。 事件は起こった。

そのは激しい夕り、夜になってもり続いていた。 午2過ぎ。落の音で目を覚ました私は、ふと窓のに違を覚えた。

が庭をく照らしす。 その瞬、私は息を呑んだ。

に打たれる庭の真んで、野寺老がたたずんでいた。 傘もささず、全ずぶ濡れになりながら、老の庭に打ち込んだ15本の杭を見つめていた。

そして老は、懐からさな『何か』を取りすと、それをに置き、じっとタイマーのようなものでを計り始めたのだ。

体、の庭で何をしているのか? 私は暗、震えるでスマートフォンを握りしめ、窓枠のからその異様な景を撮し始めた。

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稲妻が暗を切り裂くたび、に濡れる庭の景が目に焼き付いた。

野寺老は、の庭に並んだ15本の杭のにかがみ込み、懐から取りしたのひらサイズのさな黒い器を、に直接置いた。 スマホのズーム能を最にして画面を覗き込む。老は防のデジタルストップウォッチのようなものをに持ち、に打たれながら、じっと表示パネルの数字を見つめていた。

何かを測っている。を、あるいは……盤の振を?

は3分ほどそうしていたが、やがて満したのか、黒い器を回収して自分のへと戻っていった。 翌朝、撮った画を確認してみたが、激しいで画質が荒く、老にしていた器が何なのかまでは判別できなかった。ただ、彼が単なる認症の嫌がらせで杭を打っているのではないことだけは、疑いようのない事実として私の胸にくのしかかった。

それからの々は、まさに底なしのさとの戦いだった。

16目、『1024-16』。 20目、『1024-20』。 25目、『1024-25』。

も欠かすことなく、毎朝5ぴったりに現れ、寸分違わず1センチずつ、の庭に杭を打ちめた。

25センチも庭を侵蝕されると、景としては異様極まりなかった。 リビングの掃きし窓から目との先まで、太い鋼鉄の杭がまるでミニチュアの柵のように真っ直ぐ列に並んでいるのだ。

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