みかん小説
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"毎日1センチ狭くなる庭" 第14話

いいな?」

「任せてくださいよ!」 健太は調子のいい声で笑った。

「あいつは職もないただの専業主婦だ。俺に見捨てられたらきていけないとい込んでるバカですからね。適当に優しくしたり脅したりして、崩落のその瞬まで、こので『い妻』をやらせておきますよ。……まあ、最悪、崩落に巻き込まれてあいつがんだとしても、配偶者保険がりるから俺にはラッキーなんですけどね」

「……クックック、おも相当な悪党だな、健太くん」

「次郎さんほどじゃないですよ。あははは!」

品で酷な笑い声が、夜のリビングに響き渡った。

、スマホの画面を見つめる私の元から、ふっと吐息が漏れた。

自分の妻を、銭目の欠陥宅の「柱」にし、最悪んでも構わないと笑いばす夫。

涙など、滴もなかった。 私の胸にあったのは、果てしない虚無と、そして完璧な獲物を追い詰めた狩のような、徹な歓だった。

「録れたわ……」

スマホの画面には、の会話が1秒の漏れもなく、クリアな音質で記録されていた。

健太、次郎。 あなたたちは今、自らので、自分たちの墓穴を掘ったのよ。

ゴゴゴ……。

そのの笑い声を遮るように、の真から、先ほどよりも回りきな鳴りが響いた。 リビングのシャンデリアがきく揺れ、カチャンと甲い音をてた。

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「おい……今のはなんだ?」次郎の声が張る。

丈夫ですよ、ただの震でしょう」健太が引きつった声で答える。

彼らはまだ気づいていない。 の崩落だけではない。 彼らのを根底から叩き潰す「崩壊」が、すぐ目との先まで迫っていることに。

私は静かに寝のドアを閉じ、たく微笑んだ。

カチリ……ガタッ。

翌朝、洗面所のドアを閉めようとしたが止まった。扉が斜めに歪み、ドア枠にぶつかって途で引っかかる。 目に見える形で、このは傾き始めていた。

リビングのテーブルには、昨まで真っ直ぐっていた輪挿しの瓶が、かすかに側へ傾いて置かれていた。面が斜めに揺れている。

「おい美咲、なんかこの、ドアの滑りが悪いぞ。欠陥宅かよ」

起きてきた健太が、あくびをしながら嫌そうにドアを蹴ばした。昨夜の鳴りに瞬怯えていた男とはえない、相変わらずの横柄な態度だった。自分が欠陥宅だとって買い、裏まで受け取っているくせに、々しい演技を崩さない。

私は静かにコーヒーを淹れ、健太のに置いた。そして、あえて自虐なフリをして問いかけた。

「ねえ、健太さん。やっぱりこの、どこかおかしいよ。もし本当に危険なら、にでもアパートに引っ越さない? 私が独代から貯めていた1,000万円……あのだけでも返してもらえたら、どこか借りられるとうんだけど……」

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私の言葉に、健太は呆れ果てたようにで笑った。トーストをに放り込み、見すような目で私を睨みつける。

「お、本気で言ってるのか? 度払ったが返ってくるわけないだろ。社会の仕組みもらないのか?」

「でも、あれは私の独代からの貯だよ? 私が20代の頃から必に働いて貯めた、切なおだったのに……」

「ハッ、独代の貯だぁ?」 健太はコーヒーカップをガタンとテーブルに叩きつけた。

「おさ、専業主婦の分際で何権利主張してんだよ。おは俺の、俺のなんだよ! たかが1,000万くらいでガタガタ騒ぐな。俺と結婚して、今までわせてやっている俺への『入料』だとえばいもんだろ」

料。 私が20代の青をすべて捧げ、コツコツと節約をねて貯め込んだ1,000万円。それを、この男は自分の欲望と裏を得るための「使い捨ての踏み台」として奪いったのだ。

「嫌ならていけば? ただし、分も渡さないけどな。職もない、もない38歳のおばさんがきていけるわけないだろ」

健太は吐き捨てると、着を羽織って玄関へと向かった。 「じゃあな。今も仕事(裏の処理)で遅くなるから、夕飯はいらないぞ」

バタンとドアが閉まり、に静寂が戻った。

私はテーブルに残された健太のカップをややかに見つめたあと、斎へ向かった。

持ちしたのは、私の独代の通帳と、このを購入した際の座振込の控えだ。

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