"会長を救った孤児と十年目のDNA" 第5話
切の音をてないように。
そして、健造は暗い廊にち尽くした。
どれくらいそうしていたか、分からなかった。
体がかなかったのではない。
かさなかったのだ。
ここでいてしまったら、自分のの何かが崩れる気がした。
やがて、健造はゆっくりと歩きし、執務へ戻った。
灯をつけなかった。
窓から差し込む夜のので、デスクのに座る。
引きしをけ、奥にしまっていた枚の写真をに取った。
幸介が20代の頃にで撮った写真だった。
械のにち、作業着を着てし照れたように笑っている。
健造はその写真をい、ただ見つめていた。
それから写真をデスクに伏せ、話をに取った。
夜だったが、相はすぐにた。
信頼できる民の検査関の責任者だった。
健造は静かにをいた。
「DNA鑑定を依頼したい」
確に件を伝える。
「資料はの朝、田が持参する」
相が承諾のを示す。
「結果は5以内に。費用は問わない」
話を切った、健造はデスクに両肘をついた。
組んだのに額を当てる。
泣いてはいなかった。
ただ、いそうして目を閉じていた。
翌朝、田が勇気の朝のに使った箸を回収した。
洗面台の排に残っていた数本の髪の毛も拾いげる。
健造の指示通りにさな袋に収め、検査関へ届けた。
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健造は勇気には何も告げなかった。
田も何も告げない。
ので、その話題は切なかった。
ただ、そのの朝の席で、健造は勇気につだけ尋ねた。
「その帳は、どこでに入れたんだ?」
勇気はしを置いた。
それから、静かに答えた。
「まれたから持っていたといます」
勇気は帳を撫でた。
「物ついたには、もうありました」
健造はそれ以聞かなかった。
勇気も話を続けなかった。
朝は静かに終わった。
べ終えた、勇気はまた箸を箸置きのに揃えた。
皿をねて端に寄せる。
然と、完全に平に。
健造はその元を見つめていた。
ゆっくりと湯呑みをに運ぶ。
お茶の温度はちょうど良かった。
しかし、健造にはその温かさがじられなかった。
そのの午、田から健造に本の内線話が入った。
田は受話器越しに報告した。
「会。本、堀田悟常務が邸宅を訪問したいとのことです」
田はし声を潜めた。
「再構築案の説がしたいと」
健造はしの、黙り込んだ。
やがて、く答えた。
「分かった。通しなさい」
話を切った、健造は廊にた。
窓から庭を見ろす。
勇気が庭でを並べているのが見えた。
縁に沿って、拾ったを等隔に列に並べている。
している様子だった。
健造は窓から目をした。
悟を迎える支度をするよう、浜田に伝えた。
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しかし、のではまだ勇気の横顔を考えていた。
幸介に似た横顔。
幸介と同じ癖。
幸介と同じアレルギー。
そして、幸介の字が詰まった古い帳。
5の検査結果を待つまでもなく、健造のではすでに答えが始めていた。
しかし、確信は証拠になってからでないとにできない。
それが健造というが、72かけて作りげた流儀だった。
堀田悟が邸宅に現れたのは、午2をし過ぎた頃だった。
濃紺のスーツにのネクタイピンがっている。
髪は髪料で滑らかに撫でつけられていた。
靴は鏡のように磨きげられている。
45歳という齢よりも若く見える顔ちだった。
常に計算されたような笑みを浮かべている。
堀田財閥の傍系にまれ、20かけて常務取締役の座まで登り詰めた男だ。
現をらないまま、数字だけで会社を語るを健造は好まなかった。
しかし、悟はそういった批判を巧みに躱してきた。
社内での位を、しずつ確実に固めてきた男だった。
田は、悟が来るたびに廊の空気がわずかに変わるような覚を覚える。
気のせいだとっていた。
しかし、ずっと気のせいだとは言い切れなかった。
悟は玄関で田に迎えられ、応接へと通された。
分い類の束を革のフォルダーに収めている。
それを脇に抱えて歩いていた。
悟は応接に入る、田に声をかけた。
「おをいただいてありがとうございます。