"会長を救った孤児と十年目のDNA" 第13話
田の切迫した顔を見る。
田は余分な説を切しなかった。
健造は無言でちがった。
ちがる途で、が無識に胸元へ向かう。
田は歩にた。
「会、いい……」
健造はを振り、田の言葉を制した。
しかし、そのの健造の息遣いは、いつもとわずかに違っていた。
声がほんのしだけかすれている。
健造は斎の窓に歩み寄り、庭を見ろした。
途で止まったの列が見える。
健造は、そのの列から目をせなかった。
並び始めて、途で自然に止まった。
それがこの子供に起きた状況を、どんな言葉よりも正確に表していた。
田がスマートフォンを取りした。
「警察へ連絡を」
健造は力く頷いた。
「それと」
健造は田を振り返った。
「あの子の着の内側に、先縫い付けたものがある。確認できるか」
田は瞬のの、すべてを理解した表になった。
数、健造が田に頼んでいたことがあった。
くの神社で求めたさな交通全のお守り。
それを、勇気の着の内側の縫い目に、目たないように縫い付けること。
その作業を田は浜田に頼み、浜田が密かに施していた。
そのお守りのに、健造が配した型の発信が入っていた。
勇気が気づかないように、お守りの布のに納めた極の端末だった。
田はすぐにスマートフォンを操作した。
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専用のアプリが起する。
図につの赤い点が現れた。
点は、確実にいていた。
邸宅からの方角へ向かっている。
すでに数キロメートルれた位置にあった。
田は健造にその画面を見せた。
健造は画面の点を見て、鋭く目を細めた。
それから田に指示をした。
「警察に連絡してから、をしなさい」
田はすぐさま警察にダイヤルした。
状況を確に伝え、発信の座標報をリアルタイムで共する。
担当者は「すぐにきます」と答えた。
田は健造をの助席に乗せた。
自分でハンドルを握り、急発させる。
健造は助席で、スマートフォンの画面をい入るように見つめ続けていた。
赤い点はまだいている。
定の速度で、特定の方向へ。
田はをらせながら、健造の横顔を度だけ盗み見た。
健造は画面から切目をさない。
その横顔に、田はかつて見たことのない表を見た。
りでも、恐怖でもない。
もっと根源な何かだった。
失ったものを、もう度と失うまいとする執。
老いた体に宿った、最の命の炎のような何かだった。
田はを向き、アクセルをさらに踏み込んだ。
夕暮れの京の並みが、窓を激しく流れていく。
発信の示す点は、京郊の古い業帯ので止まった。
かつてさな町が集まっていた区画だ。
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今は半分以が廃業し、シャッターのりた建物が並んでいる。
灯の数がなく、が落ちると通りがほとんどなくなる所だった。
田はを、その区画のの暗がりで止めた。
健造に向かって静かに言う。
「会、ここで待っていてください。警察がもうすぐ到着します」
健造は答えなかった。
画面の点を見つめたままだ。
点はいていない。
「建物のにいる」
田はもう度、引き留めようとをいた。
しかし、健造が自らドアをけた。
「会」
健造は言い放った。
「緒にく」
田は反論しなかった。
反論できるような声の響きではなかったからだ。
はをりた。
暗いを音を殺して歩く。
発信の示す所は、通りから本入ったの奥にある。
階建ての、古い廃倉庫だった。
壁のモルタルが剥がれ落ちている。
窓ガラスの部がベニヤ板で塞がれていた。
建物にづく。
から、い話し声が漏れ聞こえてきた。
複数のがいる。
田は健造の腕を軽く掴んだ。
建物の角のでを止めさせる。
警察の到着を待つ必があった。
田のスマートフォンがく振した。
担当の私刑事からメッセージが届いた。
『5分で着く。かないでください』
田は健造にその画面を見せた。
健造は無言で頷いた。
しかし、その目は建物の入りから決してれなかった。
5分は、途方もなくかった。
田には10分以にじられた。