"会長を救った孤児と十年目のDNA" 第14話
健造は建物の壁に背を預けている。
ったまま、微だにせず待った。
その、度も姿勢を崩さない。
呼吸は静かだった。
しかし、田は見ていた。
健造のが、着の内側を無識にく押さえているのを。
胸にを当てる仕。
体の痛みをこらえているの、特の仕だった。
田は何も言わなかった。
何も言えなかった。
サイレンを消した警察両が2台、の入りに滑り込んできた。
その景を見て、田はさく息を吐きした。
制警官と私刑事が、素く建物を包囲する。
田と健造は、の角で待するよう指示された。
数分、建物のから声ががった。
音が複数なり、鈍い音が響く。
そして、すぐに静寂が戻った。
担当刑事が角を回ってきて、田に向かって頷いた。
「確保しました。子供は無事です」
田の全から、張り詰めていた何かが気に抜けた。
健造は静かに目を閉じた。
1秒だけ。
それから目をけ、刑事に言った。
「連れてきてもらえますか?」
勇気が建物の入りからてきた。
着に埃がしついている。
しかし、体に目った怪はなかった。
顔は青かったが、取り乱している様子はない。
警官に付き添われてにてきた勇気は、角につ健造を見つけた。
勇気は瞬を止めた。
それから、ゆっくりと歩いてきた。
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ってびつくようなことはしなかった。
しかし、健造のそばまで来た、勇気はさな声で言った。
「来てくれたんですね」
健造は何も答えなかった。
ただ、勇気のにきなを置いた。
きく、しかし力を入れすぎない、優しいだった。
勇気はそのので、しだけ目を伏せた。
泣きはしなかった。
ただ、それまでずっと体のどこかに溜め込んでいた緊張が、ほんのしだけに漏れたような。
そんな顔をした。
田はその面を静かに見ていた。
そして、スッと線を逸らした。
線を逸らさなければ、自分が先に崩れ落ちてしまいそうだったからだ。
警察の事聴取は、そので簡単なものがわれた。
詳細な聴取は翌改めてわれることになった。
倉庫のにいた男たちは3。
全員が元をかすことを頑なに拒んだ。
しかし、押収した携帯話の通話履歴から、悟との繋がりが浮かびがるのにはかからなかった。
担当刑事は田に打ちした。
「常務の堀田悟さんとの関係を調べます。令状の申請をめます」
田はく頷いた。
それから、刑事につだけなことを尋ねた。
「捜査の過程で、10の交通事故についても調べていただくことは能でしょうか?」
刑事の目が鋭くなった。
田は続ける。
「堀田名義のの事故です。当の記録があるはずです」
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刑事はし考えてから、慎に答えた。
「関連性が認められれば、野に入れます」
田はそれで分だとった。
糸さえあれば、は自然に解けていく。
それが、こういった案件の常だ。
田はの経験でそれを熟していた。
邸宅に戻ったのは、夜の9を過ぎていた。
浜田が玄関でそわそわと待っていた。
勇気の姿を見ると、浜田は声をげそうになるのを必にこらえた。
代わりに素く勇気のを取る。
「お腹が空いたでしょう」
浜田の声はし震えていた。
「すぐに用しますからね」
勇気は浜田に連れられて、堂へ向かった。
廊を歩きながら、勇気は度だけ振り返った。
玄関につ健造を見た。
健造は玄関のがり框にち、勇気が廊の奥へ消えていくのをじっと見守っていた。
その夜、堂で勇気は用された夕を残さず全部べた。
浜田が執務へ報告しに来た。
健造は報告を聞き、「そうか」とだけ言って湯呑みをに運んだ。
翌朝から、状況は速度をげてき始めた。
警察の捜査が急ピッチでむ。
悟の携帯の通話履歴が解析された。
倉庫にいた3の男のうちの1が、悟との銭授受を認め始めた。
田はその報告を断片に受けながら、同に社内の向も確に把握していた。
悟が役員数名に接触している。
健造の判断能力のを吹き込んでいるという報が入ってきた。
臨の取締役会を招集しようと暗躍しているきもあった。
田はその報をすべて、包み隠さず健造に伝えた。