みかん小説
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"乳がん手術日にゴルフへ行った夫の末路" 第5話

の端に、卵焼きの黄い欠片がついている。

「ママ、あとでね」

優馬がを振った。

「うん。あとでね」

私はそれ以言えなくて、玄関のドアをけた。

の空気はたかった。

私は駅まで歩いた。

入院バッグの持ちが、のひらにい込む。

通勤のたちに混じって、ホームにつ。

自分だけが別の所にいるみたいだった。

が来て、端の席に座った。

窓のの景は流れていく。

なのにはほとんどいていなかった。

丈夫。

病院に着けば、あとはむしかない。

そう自分に言い聞かせながら、私は何度も浅く息を吐いた。

病院に着いて、受付を済ませる。

に案内された。

護師の説は、半分もに入ってこなかった。

で着替えを済ませた頃だった。

母から連絡が来た。

『今、保育園送った。これから向かう』

その文を見て、張っていた息がしだけ抜けた。

9し回った頃。

母が病に入ってきた。

し急いできたのだろう。

頬がうっすら赤かった。

った?」

母が息をつく。

「うん」

私は頷いた。

母はさな袋を差しした。

喉飴と、リップクリームと、タオルが入っていた。

私が頼んだわけでもないのに、必そうなものがちゃんと入っていた。

護師が点滴の準備に来た。

「ご族の方ですか?」

護師が聞いた。

「はい、母です」

母が答える。

護師は瞬だけ、私と母のを見た。

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でも、余計なことは何も聞かなかった。

針が腕に入る。

たい液体が、ゆっくり体のに入ってきた。

私はスマートフォンを見た。

啓介からの連絡は、何もなかった。

今朝も、今このも。

それでも私は、またどこかで術の言くらい来るかもしれないとっていたのかもしれない。

そうったら、自分で自分が嫌になった。

「ゆか」

母が子をし引いた。

私の顔を覗き込んだ。

丈夫。終わったらちゃんといるから」

私は頷いた。

声をすと、泣きそうだった。

しばらく経って、へ向かうになった。

ストレッチャーに横になる。

井のさが、やけにたく見えた。

を運ばれていく、蛍灯が1つずつろへ流れていく。

その途で、私は1度だけ廊の奥を見た。

誰もいなかった。

来ないと分かっているのに、しだけ探してしまった自分がけなかった。

の扉がく。

ひんやりとした空気が頬に当たった。

に聞こえたのは、母の声だった。

丈夫。私がいるから」

啓介の声ではなかった。

術が終わって目を覚ました

最初に見えたのは、井だった。

ぼんやりした界の端で、が揺れた。

しして、それが母だと分かった。

「ゆか、分かる?」

母が顔をづけた。

私はさく頷いた。

喉が渇いていた。

胸の辺りがくて、息をするたびに鈍い痛みがった。

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「終わったよ」

母が私のを握った。

「先のお話も聞いたから、丈夫」

その「丈夫」は、術のってくれたのと同じ声だった。

私はまた、さく頷いた。

啓介はいなかった。

当然だ。

来れないと言ったのだから、終わったにいるはずもない。

それでも私は、麻酔が切れかけたのどこかで、ほんの瞬だけ探してしまった。

その自分が嫌だった。

に戻ってから、痛みはっていたよりかった。

体をし起こすだけで、胸の傷が引きつった。

息が詰まりそうになった。

体をかすのも怖い。

護師に伝ってもらいながら、ゆっくり体の向きを変えるだけで汗が滲んだ。

夜遅くなっても、痛みで何度も目が覚めた。

枕元の計を見るたびに、まだこんなかとった。

い夜だった。

そのの夜。

啓介からLINEが通だけ来た。

丈夫そう?』

それだけだった。

私はしばらく画面を見てから、軽く返した。

『終わったよ』

返事はすぐには来なかった。

ししてようやく既読がついた。

でもそれ以は、何もなかった。

翌朝、母がまた病に来た。

にはさな袋を持っていた。

「ゼリー買ってきたよ」

母がテーブルに置く。

べられそうなら、しだけ」

「ありがとう」

私はか細い声で答えた。

「優馬は今、ちゃんと保育園ったから」

母が荷物を理しながら言う。

「朝ちょっとぐずったけど、卵焼きべたら嫌直した」

私はその言葉を聞いて、ようやくし息ができた。

母は昨、私を送りした、急いで優馬を保育園に連れてったのだ。

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