"乳がん手術日にゴルフへ行った夫の末路" 第10話
「お母様でしょうか。優馬くんのことでご連絡しました」
先の声が、しかった。
「園庭で転んでしまって、額を切っています。血は止まっているんですが、傷がしくて病院で診ていただいた方がいいかと」
臓が気にく打った。
「どのくらいですか?」
私が聞く。
「1センチくらいなんですが、ぱっくりいていて、縫うかどうか先に診ていただいた方がかといます」
「わかりました。すぐきます」
話を切った瞬、子を引く音が自分でもきく聞こえた。
机のの類を閉じて、司にをげる。
「すみません。子供が怪をして、保育園から連絡が来ました」
司は顔をげて、すぐに言った。
「って。仕事はいいから」
私は鞄を掴んで、ほとんどるように部をた。
エレベーターを待つ瞬すらくじた。
数字が変わるたびに、優馬の額の傷を像してしまう。
1階に着いた瞬、私は啓介に話をかけた。
呼びし音。
2回、3回、4回。
ない。
そのまま留守番話に切り替わった。
私はく息を吸った。
「優馬が保育園で怪した。額を切ったって。今から病院に連れてく」
それだけ吹き込んで切った。
来てほしいと言いたかった。
今どこ、と聞きたかった。
でも今は、そんなことをしているが惜しかった。
保育園に着くと、優馬は処置のの子に座っていた。
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額にはいガーゼが貼られている。
目の周りが赤く腫れていた。
泣いたの顔だった。
私の姿を見た瞬、唇が震えた。
「ママ」
私はしゃがんで、く抱きしめた。
「来たよ。怖かったね」
さなが、私のをぎゅっと掴んだ。
先が申し訳なさそうにをげる。
「消毒はしてあるんですが、傷がしくて」
「いえ、ありがとうございます。連れてきます」
優馬を抱きげると、体がかった。
泣いたの子供のだった。
保育園をて、に乗せる。
チャイルドシートのベルトを留めながら、額のガーゼを見た。
いはずのガーゼの端が、しだけ赤く滲んでいた。
「ママ、痛い」
優馬が呟く。
「うん。もうすぐ先のところこうね」
「パパは?」
その言に、胸の奥が詰まった。
「お仕事だよ」
「ふうん」
3歳の子供は、それで納得する。
お仕事と言われれば、そういうものなのだろうと受け入れてしまう。
病院までののりが、やけにくじた。
信号で止まるたびに、バックミラーで優馬の顔を見る。
傷を気にして、何度もをげそうになる。
私はその度に声をかけた。
「触らないでね。もうちょっとだからね」
「うん」
病院の待は、平の午らしい静けさだった。
プラスチックの子に腰をかけると、優馬は私の腕にしがみついた。
れようとしなかった。
受付で保険証をして、診察券をして、問診票をく。
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いつもの作のはずなのに、文字をくがし震えていた。
私はにスマートフォンを見た。
啓介からは何もなかった。
既読すらまだついていなかった。
診察に呼ばれてへ入る。
医師がガーゼをすと、傷が見えた。
ぱっくりいていて、ったより々しかった。
「これは痛かったね」
医師が言う。
優馬は私の膝にしがみついたまま、唇をぎゅっと結んだ。
「縫うほどではないけれど、しっかり固定した方がいいですね」
消毒の、優馬は顔をしかめた。
それでも、きな声では泣かなかった。
さなで私のを握って、必に耐えていた。
「丈夫、丈夫」
私は何度も背をさすった。
処置が終わると、額には細いテープが何本も貼られていた。
さい傷のはずなのに、私にはとてもきく見えた。
「今夜吐いたり、ボーッとしたり、いつもと違う様子があればすぐに来てください」
「はい」
会計を終えて病院をた、スマートフォンを見た。
啓介からの返信はなかった。
着信もなかった。
メッセージは既読がついていた。
既読だけ。
3歳の息子が額を切って病院にったと伝えて、既読。
その2文字が、妙にたく見えた。
ああ、このにとってはこの程度なんだ。
優馬が私のコートの裾を引いた。
「お、帰る」
私は画面を閉じた。
「うん。帰ろう」
に乗せて、ベルトを留める。
額のテープはさいのに、そこだけがやけに目って見えた。
帰り、優馬がろの席からさな声で言った。