"ドアの黄色の付箋" 第2話
このマンションは、私が結婚するに、自分の独代の貯と厳しいローン審査をくぐり抜けて買い叩いた、都内の築浅だ。も当たりも良く、私の誇りそのものだった。
夫の修(おさむ)と結婚して。 義母はに、度、予告もなくがを訪ねてくる。そして私が仕事でのに限り、こうしてドアのドアノブのやインターホン横に、あの黄い付箋を貼り残していくのだった。
「またお義母さん、来られたのね……」
最初は、ただの「かまってちゃん」なのだとっていた。 「嫁がにいなくて、せっかく来てあげたのに留守だった」という密かな当てつけ。あるいは、「もっと庭に入りなさい」という無言の圧迫。
「ただいま、理。……あ、またおふくろから付箋?」
夜、帰宅した修が、ダイニングテーブルのに置いた黄いを見て苦笑いした。修はハウスメーカーの請け営業で、見た目は清潔があり、誰に対しても当たりが柔らかい「優しい夫」だ。
「うん。せっかく来てくれたのに申し訳ないけど……できれば事に連絡してほしいなって。お義母さん、携帯持ってるんだし」
私がそう言うと、修は私の肩を優しく叩きながら、いつものように言った。
「ごめんな。おふくろも悪気はないんだよ。理がでバリバリ働いてるのが、昔気質のおふくろにはし寂しいんじゃないかな。
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俺からもう言言っておくよ」
その言葉に、私は「私が気にしすぎなのかな」と自分を納得させていた。
しかし、その「違」が決定な破調を告げたのは、それから週の曜のことだった。
その、私は昼過ぎから激しい痛と目まいに襲われ、会社の部署で許をもらい、退することにした。刻は午半。
マンションのオートロックを抜け、エレベーターで自分の階へがる。 静まり返った内廊を歩き、自分の部の角を曲がろうとした——
界の先、私ののドアのに、見覚えのある柄な女の背があった。 のカーディガンに、きっちりセットされた髪交じりのパーマ。義母の美代子だった。
(あ……お義母さんだ。声をかけなきゃ)
私が歩踏みそうとした、そのだった。
義母は、インターホンのボタンを押さなかった。 チャイムの音は、静かな廊に切響かなかった。
彼女はただ、バッグからスッと黄い付箋を取りすと、あらかじめいてあったらしい「来ましたがお留守でした」というメモを、ドアの属面に慣れたつきで貼り付けた。
そして次の瞬。
義母はポケットから本の鍵を取りした。
ガチャリ、とい属音が響く。 義母は迷いのないつきで鍵穴に鍵を差し込み、回した。
ドアが滑らかにき、義母はそのまま、ごく自然にがのへと消えていった。
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カチリ。 ドアが静かに閉まる。
廊に残されたのは、ドアノブの脇に貼られた、鮮やかな黄い付箋だけだった。
「来ましたがお留守でした」
私はがすくみ、廊ので息をのんだまま、くことができなかった。
彼女はチャイムを鳴らしていない。 私が留守かどうかを確認してもいない。
最初から私が「留守であること」を提に、付箋を貼り、自分だけの鍵で私のに入っていったのだ。
第章:歪んだ配置
どのくらいの、廊にち尽くしていただろうか。 全の血が引いていくようなたさをじながら、私はスマートフォンの画面を見つめた。
警察に通報するべきか? いや、相は夫の母親だ。「息子のに来ただけ」と言われればそれまでかもしれない。だが、あの鍵は体どこからに入れたのか? 私は修以に鍵を渡した覚えはない。
を決して、私はドアにづき、静かに自分の鍵を差し込んだ。
カチャ。
ドアをけると、玄関には義母の靴があった。 靴を脱ぎ、忍びで廊をむ。リビングのドアがしだけいていた。
隙から覗くと、義母はリビングのソファに腰掛け、テレビをつけるでもなく、ただじっと部のを見回していた。
「……お義母さん?」
私が努めて静な声をすと、義母は「ひっ」とい鳴をげてび起きた。
「り、理さん……!? な、なんでこんなにいるの……?」
義母の顔が瞬で蒼になり、目を見く。