みかん小説
本棚

"ドアの黄色の付箋" 第5話

録画データのタイムスタンプは「本 13:15」。私が会社で必にパソコンに向かい、を抱えながら類を作成していた、まさにそのだ。

りで全の血が逆流し、指先が氷のようにたくなっていく。 だが、パニックを起こしてはいけない。ここで私が取り乱して問い詰めれば、彼らは「やはり理は精神定だ」と騒ぎて、鍵を取りげて私を精神科へ制入院させる実を与えるだけだ。

静になれ、理。相は私の財産とを丸ごと奪おうとしている……)

私は呼吸を繰り返し、ノートをいた。 修の言葉から得られた報を理する。

:私を薬物で精神異常・うつ病に追い込み、判断能力を失わせること。そのとしてこのマンション(推定5,000万円)を売却すること。

段:私が毎朝んでいるサプリメントのケースに、義母のいのメンタルクリニックから入した「力な精神定剤・鎮静剤」を混入。

:修の借(あと半で返済期限。額はだが数千万円規模)。

堀の埋め方:義母がドアに「留守でした」の黄い付箋を貼り続けることで、「義母が何度も配して訪問しているのに、嫁が部に閉じこもりてこない」という偽りの既成事実を所や管理に植え付けようとしている。

完璧な、そして極めて悪質な「精神殺害」

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の計画。

私はまず、キッチンへ向かった。 調料ラックの奥に置いてある、疲れ目用のビタミンサプリメントのボトル。袋をはめて慎に蓋をけ、のカプセルをピンセットで粒ずつ取りす。

よく見ると、カプセルの継ぎ目の刻印が、微かに混ざっていた。 本物のサプリメントは「A-102」という刻印があるが、混入されたカプセルには何もかれていない。

私は刻印のないカプセルを数粒選び、ジップ付きの袋に密封した。 、信頼できる民の毒理分析関と、代の友で薬剤師をしている女友達に連絡を取るためだ。

次に、修の斎に潜入した。 修は自分の部の引きしに鍵をかけているが、その鍵の隠し所——本棚の裏の隙——を私はっている。

鍵をけ、類を捜索する。 奥からてきたのは、黒い革のファイルだった。

ページをめくると、そこには衝撃類が挟まれていた。

つは、消費者融とまがいの投資会社からの督促状。 借入残計は、百万円。

そしてもうつ—— 私名義の保険の契約だった。

被保険者:田理。 保険受取田修。 度障害の支払額:千万円。

契約は、半。私の署名欄には、私の跡を模した修の代が残されていた。

「……ハッ」

乾いた笑いが漏れた。 マンションの売却だけではない。

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もし私が薬の副作用でベランダから落ちたり、朦朧としてしたりすれば、修は千万円の保険までに入れる算段だったのだ。

私が彼を「優しい夫」だと信じ込んでいた。 彼は私のすぐ隣で、私が待ちにしていた。

ガチャリ。

玄関の鍵がく音がした。修が呂からがってきたのだ。

私は素類を元通りにして引きしに鍵をかけ、ファイルの位置をミリ単位で調した。 パソコンの画面を消し、袋をして斎をる。

「理? まだ起きてたの?」

濡れた髪をタオルで拭きながら、修が廊から顔をした。 その顔には、先ほど画面で見た酷な企みなど微じさせない、いつもの「優しい夫」の笑みが浮かんでいた。

「うん……ちょっとの仕事の準備をね。修、お呂ありがとう」

「無理するなよ? 最、顔も悪いし……そうだ、ちゃんと毎朝のサプリ、んでるか?」

修はキッチンのサプリのボトルを指さし、から私の体を案じるような声で言った。

「ええ、んでるわ。修が買ってくれたものだもの」

「よしよし。しっかり栄養摂って、く元気になってくれよ」

修は私のを優しく撫でた。 その温かいのひらが、まるで毒蛇の鱗のように気持ち悪かった。

私はで、たく呟いた。

(ええ、絶対に元気になってみせるわ。あなたたちが獄に落ちるのを、この目で見届けるまではね)

私は笑顔で修を見つめ返し、「おやすみなさい」

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