"祖母の1000万円超を1220円にした兄嫁の末路" 第1話
私はモニターの画面を、ただ呆然と見つめていた。
夜の22を過ぎ、ではたいがアスファルトを叩きつける音がかすかに響いている。
こんな遅いに、がのインターホンが鳴るなどということは、これまでの平穏な常において度たりとも起きたことのない異常事態であった。
「こんなに、いったい誰だろう……」
私は揺を抑え込みながら、恐る恐る玄関のインターホン画面を確認した。
画面に映しされたその異様な姿を認めた瞬、私はわず息をんでそのに凍りついた。
そこにっていたのは、でもない、が最の祖母だった。
齢はもうすぐ90歳になろうかという齢である。
祖母はパジャマのようなの寝巻き姿のままで、着すらまともに羽織っていなかった。
当然、を防ぐための傘など持っているはずもない。
たいに全を打ち付けられ、ずぶ濡れになったそのさな体は、寒さと恐怖で刻みに震えていた。
「おばあちゃん……っ! 体、どうしたの……?」
私は声を震わせながら、慌てて玄関の鍵をけ、え切った廊にびした。
「こんな格好で、いったいどうして……」
駆け寄った私の目にび込んできたのは、あまりにも痛ましい祖母の元だった。
なんと、祖母は素のままだったのだ。
アスファルトのたさやの痛みに耐えながら、ここまで歩いてきたのだろうか。
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その顔面は血の気が引いたように青く、以実で会ったよりも、さらにひどく痩せ細っていた。
着飾る余裕など微もなく、ただ命からがら逃げしてきたかのようなその様は、まるで過酷な牢から命懸けで脱獄してきた囚のようだった。
「おばあちゃん、しっかりして!」
私は祖母のえきった肩をしっかりと抱き寄せ、がの温かいが漏れるリビングへと急ぎで招き入れた。
この、私の胸のうちは得体のれないと、言いようのない恐怖で満たされていた。
そして、リビングのかな照ので、私は振り返り、夫である幸の姿を探した。
「幸、く! きなバスタオルと、何か着られるかい着替えを持ってきてちょうだい!」
私の切迫した声を察したのだろう。
幸は驚いた表のまま、すぐさま寝の方向へ駆けしていった。
祖母は私の腕ので、枝のように細い体をなおも震わせ続けている。
「……ありがと、う……かよ……」
祖母は震える乾いた唇をかすかにかし、消え入りそうな声で何度もそう繰り返した。
その言葉を聞くたびに、私の胸の奥が締め付けられるように痛んだ。
私は祖母をリビングの最も温かい特等席であるソファーへと優しく座らせた。
そして、え切った肩からふんわりとしたの毛布を丁寧に包み込んでやった。
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しばらくの、祖母は言葉を発することもできず、ただ荒い息を繰り返していたが、やがてじんわりと温もりが戻ってきたのか、ようやくしだけついたような表を見せた。
ちょうどそのタイミングで、幸が湯気のつマグカップを持って戻ってきた。
は、祖母の好きな温かい茶である。
「おばあちゃん、これをんでし温まってください」
幸は優しく声をかけながら、マグカップを祖母の両にそっと持たせた。
幸は、目ので震える祖母の異様な姿を目の当たりにして、言葉を失ったように驚きを隠せない顔でそのにち尽くしていた。
祖母は両でマグカップをしっかりと包み込み、湯気をしばらく見つめていた。
やがて、覚悟を決めたように茶をだけゆっくりとに含んだ。
そして、温かい液体が喉を通ったのを確認してから、私たち夫婦に向かって、く、くをげた。
「……お願いだ。今だけでいい……。どうか、このに私を泊めておくれ……」
その絞りすような懇願の言葉を聞いた瞬、私の脳裏にが落ちたようない衝撃がった。
90歳を過ぎたがの祖母が、こんな夜に寝巻きの素でをびし、に濡れながら逃げしてくるまで、体どれほどの恐怖と絶望に追い込まれていたというのだろうか。
そんな残酷な事態が面でしていることなど、私には像すらできていなかった。