雨の深夜、90歳近い祖母が寝巻き姿のまま、素足で私・かよの家へ逃げ込んできた。母の入院後、兄・浩司と兄嫁・リツ子に部屋を奪われ、2階へ閉じ込められたうえ、食事まで断たれて通帳やキャッシュカード、暗証番号を差し出させられていたという。幼い頃から私を慈しんでくれた祖母の痩せ細った姿に、私は激しい後悔と怒りを覚える。しかも首謀者と疑われるリツ子は、祖母を「ボケた老人」に仕立て、高級車やブランド品に囲まれた生活を送っていた。もう許さない。私は夫・安幸と祖母を守ると決め、あえてリツ子の味方を装って通帳を奪還する。だが、1000万円以上あったはずの残高は、わずか1220円。そしてその事実を兄へ突きつけた瞬間、返ってきたのは予想外の動揺だった。祖母の財産を本当に食い尽くしたのは誰なのか――家族を欺いた嘘が、ここから崩れ始める。