「お母様の荷物は、水曜日に全て運び出されました」――1週間の大阪出張から戻った私・エミを待っていたのは、75歳の母・春江が高齢者住宅から勝手に退去させられたという事実だった。夫・高志は「月15万円は無駄だ」と私の同意を偽り、足腰の弱い母を手すりもない古いアパートへ移していた。ところが直後、夫婦の共通口座から50万円が不動産会社へ送金されていたことが判明する。行き先を確かめると、そこは義母・みさ子のために高志が契約した家賃13万円の新築マンションだった。さらに家具代15万円まで家族カード払い。妻の母の安全費は「浪費」、自分の母への支出は「親孝行」――その二重基準に気づいた私は、共通口座への毎月8万円の送金を停止し、母の新しい安全な住まいを自分の力で確保する。そして契約書を調べるうち、高志が“家計のため”ではなく、自分の見栄を守るために最初から母を追い出す計画だった証拠まで見つかる――。