"15万円を切られた母と13万円の姑マンション" 第8話
曜の朝から、私は3軒の齢者宅を回っていた。
しかし、現実は私が像していた以に厳しかった。
1軒目の施設は設備もしく、見守り体制も完璧だった。
だが入居のための初期費用として、数百万円のが必だと言われた。
2軒目は費用こそ以と同じ額15万円程度だったが、現満だという。
待者が10以おり半は案内できないと、事務員から申し訳なさそうに告げられた。
午の予定を終え、私は駅のベンチに座り込んでくため息をついた。
夫が私に無断で解約してしまった以の施設が、どれほど条件の良い所だったのかをいらされる。
自分の与だけで毎15万円い負担を続けるのは、今の活を考えれば現実ではない。
かと言って、額な初期費用をポンと払えるほどの個の貯もない。
焦りと疲労がなり、取りは鉛のようにくなっていた。
夕方、私はいを引きずるようにして母のアパートへ向かった。
玄関のドアをけると、隙によるたい空気が元をいがってくる。
母は狭い部の隅で、に座布団を敷いてさく丸まっていた。
私が買ってきた惣菜をテーブルに並べようとすると、母がちがろうとする。
しかし、をつく所がないため、痛む膝をかばいながら顔をしかめた。
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私が慌てて支えると、母は申し訳なさそうにさく息を吐いた。
「お母さん、かなくていいから私がやるよ」
母は私の疲労のが濃い顔を見て、しそうに目を伏せた。
「エミ、今は1施設を探してくれていたんでしょう」
母はをわせた。
「もう無理しなくていいのよ。これ以あなたに負担をかけたくないわ」
私は笑顔を作って見せた。
「負担なんてってないよ。お母さんが全に暮らせる所を必ず探すから」
母の震える声を聞いて、私の胸の奥で何かがプツリと切れそうになった。
「でも、昨の夜は隣の部の音が響いてし怖かったの……」
私がを張っているだけで、実は志の言う通りなのだろうか。
の丈にわない介護費を1で背負うことなど、最初から無理だったのだ。
このまま週に数回の訪問介護を増やして、ここで妥協するしかないのか。
母親にこんな惨めないをさせてまで、私が1で戦うがあるのか。
い無力に襲われ、諦めの言葉が喉までかかっただった。
私の鞄ので、スマートフォンがく震えた。
画面を見ると、志からのいメッセージだった。
そこには、級具に並ぶ派なダイニングセットの写真が添付されていた。
続くメッセージの文面を見て、私は自分の目を疑った。
『母さんのしいマンション用に、テーブルと子を買ったよ』
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私は画面を凝したまま、息をするのも忘れてち尽くした。
『に座らせると腰に悪いからな。15万円、共通の族カードで切っておいたぞ』
私の母がすりのないトイレを使い、からちがるのにも苦労している現実は無した夫。
その同じ夫が、健康で駅を歩き回れる自分の母には、腰に悪いからと具を買い与えている。
しかも額は奇しくも、私の母の施設費と同じ15万円だ。
私が毎振り込んできた共通座の引き落としになる族カードを使って、平然と決済している。
妻の母の全を守る15万円は、計を圧迫するもったいない無駄遣い。
自分の母を適にする15万円は、族カードで支払うべき当然の親孝。
そのあまりにもグロテスクな基準が、折れかけていた私のに烈なをつけた。
ここで私が諦めれば、母はずっとこのたい部で夫の勝な価値観の犠牲になり続ける。
私は絶対に、この理尽なルールに屈するわけにはいかない。
私は母が入れてくれたお茶を気にみ干し、スマートフォンをに当てた。
ケアマネージャーの藤井さんに話をかけ、昨見学を見送った施設について尋ねる。
駅からバスで20分ほどれるが、24の見守り体制がっている所だ。
「藤井さん、昨教えていただいた緑苑。
まだ空はありますか?」
藤井さんの声にはし驚きが混じっていた。