"15万円を切られた母と13万円の姑マンション" 第2話
タクシーに乗り込み、志から聞いた所へ向かうよう運転に告げた。
窓を流れる見慣れた町の景が、今は全く別の世界のようにたく見える。
母が2に入院した、私は自分の収入から毎15万円を負担すると決めた。
志は当から、自分の親の介護費にそこまでかける必があるのかと満げだった。
それでも私は、自分の母のことは自分が働いて支えればいいとい込んでいた。
その結果、夫婦のを削ってでも働き、今回の阪張も引き受けたのだ。
私が1で責任を背負い込んだことで、夫婦ので親をどう支えるかという話しいから逃げていた。
その隙を縫うように、志は私の留守を狙って母の活を根本から壊した。
額の問題ではないのだ。
妻の親の活を、妻に確認することなく自分が勝に変えていいという傲さが許せなかった。
志にとって、母の15万円は守るべき族の介護費ではなかった。
ただの無駄遣いであり、自分の判断でいつでも切り捨てられる対象だったのだ。
タクシーが止まったのは、駅からくれた古い宅の角だった。
目のにあるのは、壁の塗装が剥げかけた造モルタルのアパートだった。
私は菓子の袋を握りしめ、錆びた鉄の階段を見げた。
エレベーターはおろか、階段にすりすらついていない。
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腰のい母が、どうやってこの2階の部まで登ったのかと像するだけで胸が痛んだ。
指定された号のインターホンを押すと、しばらくして内側からゆっくりとした音が聞こえた。
ドアがき、チェーン越しに母の顔が見えた。
母は驚いたような、そしてどこか怯えたような表で私を見た。
「エミ、帰ってきたのね」
チェーンがされ、私は暗い玄関へとを踏み入れた。
の部には、施設から運ばれたダンボール箱が無造作に積まれている。
母は狭い部の隅に置かれた座子にちんまりと座り、私を見げた。
私は責めるつもりはなかったが、声にはい焦りが混じってしまった。
「お母さん、どうしてこんなところに。どうして私に何も言わずに退の署名なんてしたの?」
母は申し訳なさそうに線を落とし、さく首を横に振った。
「だって、志さんが言ってくれたから」
私は母のそばに膝をつき、顔を覗き込んだ。
「何を言ったの?」
母のさなが、膝のでそうに組まれている。
「エミもし費用をげた方がいいって言っているって」
その言葉を聞いた瞬、私の元からが崩れ落ちていくような覚に襲われた。
私は目を見き、首を横に振った。
「私がそんなことを言ったって?」
母は震える声で答えた。
「志さんが、張にくにあなたと話しったって言っていたのよ」
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母はうつむいたまま、言葉を絞りした。
「私が毎15万円もあなたに負担させているのが、ずっと気になっていたから……」
だからしでも娘の負担が減るならと、母は自分ので退の類に署名したのだ。
ただの節約でも、ただの理化でもない。
夫は私の同があるという嘘をついてまで、母をあの全な所から追いしたのだ。
私は膝をつき、母の震えるをしっかりと握りしめた。
「お母さんは悪くないよ。私がもっとく帰ってくればよかった」
りの矛先が、15万円という数字から、踏みにじった尊厳そのものへと変わっていくのをじた。
私は母のえ切ったをさすりながら、部のを改めて見渡した。
古い畳の匂いと、窓の隙から入り込む気が肌を刺す。
私はちがり、母を振り返った。
「お母さん、お洗いはどこにあるの?」
母は申し訳なさそうに、玄関の方を指さした。
私はちがり、暗い廊にた。
トイレのドアをけると、そこにはタイル張りのにい段差があった。
式便器のにプラスチックの式便座を被せただけの簡易なものだ。
すりは1つもなく、元はたく滑りやすい。
2、母が自宅で転倒して骨折したのことが鮮に蘇った。
腰のい母が、夜に1でこの段差をりりするのか。
15万円という費用は、ただの贅沢や無駄遣いなどではない。