"五千万円の保険金を狙った実母と十三歳の孫のリュック" 第10話
さあ、がるわよ」
私は両を広げ、全で2をブロックした。
「困ります。にがるのはお断りします」
幸子は目を吊りげた。
「何よ、偉そうに!娘を殺されたのはこっちなのよ!」
幸子のその言が、静かな玄関に響き渡った。
「ゆみがんだのはあんたの息子のせいじゃない!健さんが無謀な運転をしたから、うちのゆみは巻き込まれてんだのよ!」
幸子は私を罵った。
「あんた息子をどういうに育てたの!殺しの親のくせに私に逆らう気!?」
根拠のない、あまりにも残酷な暴言だった。
警察の調べでは、事故の原因は対向の居眠り運転であり、健には何の過失もなかったことが証されている。
なのに、幸子は自分の求を通すためだけに、き健を殺しと呼び、私をなじったのだ。
胸の奥で、激しいりの炎が燃えがった。
私が反論しようとした。
「健は悪いことなどしていません。警察からももらい事故だったと聞いています。こんな言い方はあまりにも……」
すると、今度は息子の隆が舌打ちをしてにてきた。
「ババア、答えしてんじゃねえよ」
隆は私を睨みつけた。
「姉ちゃんがんだんだから、俺たちには遺産をもらう権利があるんだよ。とっとと通帳とハンコ、それにの権利せ!」
隆は凄んだ。
「どうせあのに隠してあったんだろう」
広告
隆の目は、らかに普通ではなかった。
借に追われ、に飢えた獣のような目をしていた。
幸子がゆみから無理やり引きしたおは、全てこの男の借返済や遊興費に消えていたのだ。
私はきっぱりと断った。
「そんなもの、ここにはありません」
私は言葉を続けた。
「それに、遺産は全て子供たち3が相続するものです」
私がそう言うと、幸子の顔が夜叉のように歪んだ。
幸子は私の肩を力任せに突きばした。
「あんたみたいな貧乏な寄りに、あの子たちの財産を管理できるわけないでしょう!どうせあんた、自分の老の活費に使い込む気なんだから、いいからくしなさい!」
65歳の私の体は簡単にバランスを崩し、玄関のたいのにドスンと尻餅をついてしまった。
「痛っ……」
幸子と隆は、倒れ込んだ私を見ろしてたく笑っていた。
「わざとらしい。く通帳をしなさいって言ってるのよ」
そして、そのまま私の脇をすり抜け、のへとがり込もうとした。
このままではのを荒らされる。
2階にいる孫たちが見つかったら、どんな恐ろしい目に遭わされるかわからない。
私はとっさにに膝をついたまま、両をついてくをげた。
そう、座をしたのだ。
「お願いです。お願いですから、これ以きな声をさないでください。
広告
子供たちが怖がっています」
私は涙をこらえ、必に懇願した。
「親をくしたばかりのあの子たちに、これ以辛いいをさせないでください」
屈辱だった。
血が滲むほど唇を噛みしめ、悔しさに涙が溢れそうになるのを必にこらえた。
こんな悪魔のような親子のでをげることなど、私のプライドが許さなかった。
それでも私は母親であり、祖母なのだ。
自分がをすすることで族が守れるなら、私は何度でもをげる。
35、義両親のたい仕打ちに耐えたのように。
私の座を見た幸子は、満げにを鳴らした。
「ふん、ようやく自分のが分かったみたいね」
幸子は酷な目で見ろした。
「殺しの親は、そうやって私のでいつくばっていればいいのよ」
幸子はバッグのから1枚の類を取りした。
「まあいいわ。今はこれで帰ってあげる」
幸子は類を私の目のにバサリと投げ捨てた。
「これは未成者見の同よ。私が子供たちを引き取って財産を管理することに同するっていう類」
幸子は脅すように言った。
「これにハンコを押して、までに私に郵送しなさい。もし逆らうなら、庭裁判所に訴えて、あんたが孫を虐待しているって触れ回ってやるからね」
幸子は敵に笑った。
「弁護士だって雇ってあるんだから」
幸子はそう言い捨てると、隆を連れてドタドタと音をてて帰っていった。
ドアが閉まり、のエンジン音がざかっていくのを確信した瞬、私はへたりとそのに倒れ込んだ。