"五千万円の保険金を狙った実母と十三歳の孫のリュック" 第23話
残されたのは、完全に孤し震えがる田親子だけだった。
弁護士がとどめを刺すように言った。
「さあ田幸子さん。これであなたの元には、偽の遺言も保険も何つ残されていません。子供たちの親権も当然あなたには渡りませんよ」
幸子はへたりとソファに崩れ落ち、両で顔を覆った。
幸子のから、うわごとのように気な言葉が漏れした。
「ああ……どうしよう……どうしよう……おが、おがないと殺される……」
殺される。
その言葉を聞いて、弁護士は目を細めた。
弁護士は静かに名をにした。
「浩司ですね」
その名をにした瞬、息子の隆がビクッと体を震わせ、信じられないものを見るような目で弁護士を見た。
隆は震える声で尋ねた。
「な、なんであんたがその名をって……」
弁護士はの正体を暴いた。
「健の元司であり、現は悪質なげまがいの産会社を経営している男」
弁護士は隆を見据えた。
「隆さん。あなたがギャンブルで作った1000万円い借は、浩司から借りたものですね。そしてその借をチャラにする条件として、このとをに引き渡す約束をしていた」
私は息を呑んだ。
1000万円。
そんな途方もない額の借のために、この親子はゆみを脅し、孫たちの未来まで売りばそうとしていたのだ。
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隆はを抱え、ガタガタと震えながら叫んだ。
「ち、違う!俺は騙されたんだ!あいつが、姉ちゃんのをよこせば全部帳消しにしてやるって……」
弁護士はのをらかにした。
「浩司は、健に横領を告発されて会社を追われたことを逆みしていました。だから、健の族をめちゃくちゃにしてを奪い取ることで、復讐を果たそうとした」
弁護士は酷な事実を告げた。
「あなたたちは、そのの駒として利用されただけなんですよ」
その真実を突きつけられ、幸子も隆も完全に言葉を失っていた。
保険がに入らない。も奪えない。
彼らに残されたのは、という恐ろしい男からの1000万円の借の取りてだけだ。
自分たちの欲さが招いた、完全な自業自得だった。
弁護士が私に向かって頷いた。
「佐藤さん、これで全て終わりました。彼らがあなたや子供たちにづくことは、もう度とないでしょう」
私はく息を吐きし、張り詰めていた緊張がしずつ解けていくのをじた。
しかしその静寂を破るように、突然居に子音が鳴り響いた。
ブルル、ブルル。
音の所は、ソファで震えている隆のズボンのポケットだった。
隆はビクッとねがり、恐る恐るスマートフォンを取りした。
画面を見た瞬、隆の顔面がまるでのように真っになった。
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「あ、ああ……」
弁護士がたく尋ねた。
「誰からですか?隆さん」
隆は泣きそうな声で答えた。
「た、だ。今の昼までにの権利と実印を持ってこいって言われてたのに……話になかったから、って……」
隆の震えるので、スマートフォンはまるで呪いの鐘のようにけたたましく鳴り続けていた。
その、玄関のすぐからドスンドスンというい音が聞こえ、インターホンが乱暴に連打された。
から響く声と、ドアを蹴りげるような激しい音に、居の空気は完全に凍りついた。
「おい!にいるのは分かってんだよ!さっさとけろ!」
ドスンドスンという響きのような音が壁越しに伝わってくる。
に座っていたゆみの弟・隆が、喉の奥からけない鳴をあげた。
彼はを抱え込み、ガタガタと全を痙攣させるように震えている。
隣にいる母親の幸子もパニック状態に陥っていた。
幸子は隆を責めてた。
「な、なんであのがここに来るのよ!隆、あんたがちゃんと説しなかったからじゃないの!?」
隆も負けじと言い返した。
「俺のせいにするなよ!母ちゃんが保険の続きを失敗したからだろう!」
迫りくる恐怖をにして、この期に及んでもなお、自分だけは助かろうと責任をなすりつけう親子の醜い姿。
私はややかな目で、その景を見つめていた。
そして、ふと井を見げた。