みかん小説
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"3年の介護と兄のタワマン頭金" 第2話

を見ると、母が助席の窓を半分け、審そうにこちらを凝している。

「査定って……ここを売るってことですか」

「はい。健様からは、期の専任媒介契約を提として、具体な売りし価格の算を急ぐようご指示いただいておりまして。現況の古付きとしての引き渡し、もしくは解体更渡しののそれぞれの概算資料を、本にまとめさせていただくお約束になっております」

が吹き抜け、庭の枯れ葉が男の革靴の周りをカサリと音をてて転がった。

私は名刺を指先でく挟んだまま、助席へ戻った。母は怪訝な顔を崩さない。

「誰なの、あのたち。お父さんのい?」

「……さんだって。兄さんに頼まれて、このを売るための調べに来たって言ってる」

母は瞬、鳩が豆鉄砲をったような顔をした。それから、しわの寄った元を緩め、ふっと誇らしげにを鳴らした。

「まあ……健ったら、本当にいてくれてたのね」

私はシートベルトをしかけていたを止めた。

「お母さん、ってたの?」

ってたも何も、先週病院に来たに……あ、違うわ、話で話したのよ。『母さん、退院したら京へおいで』って。『あんな広くて寒い暮らしさせるわけにはいかないから、俺が引き取って面倒を見る』って言ってくれたのよ」

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母の目は、まるで救世主の話でもするかのように潤んでいた。

「健がね、『実を処分したで、全部綺麗に準備してやるから』って。ほらごらんなさい、麻子。本よこさないなんて悪言ってたけど、あの子はでちゃんと考えてくれてたんじゃないの。男のっていうのはね、先じゃなくてで示すものなのよ」

胸の奥に、たい澱のようなものが沈んでいくのが分かった。

、母がで滑って倒れた夜、救急に同乗したのは私だ。入院保証の欄に署名し、限度額適用認定証の続きのために役所へり、万円を超える差額ベッド代とオムツ代を自分の座からて替えたのも私だ。

その、健度も静岡に来ていない。 その健が、母の退院当に庭へ産業者を送り込み、実を売る段取りをめている。

「……お母さん、京のどこにむ気なの? 兄さんの今のマンション、練馬の2LDKでしょ。奥さんと歳の翔太くんがいるのに、お母さんの部なんてあるの?」

「そんなの、向こうで健がちゃんとうまいことやってくれるに決まってるでしょう。男が親を引き取るって言ってくれてるんだから、余計な詮索しなくていいの。ほら、に入りましょう。業者さんにもお茶くらいさなきゃ」

母は歩器にすがりつきながら、れがましい顔でりた。

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業者を追い返すわけにもいかず、私は佐々氏に「母の体調が優れないので、類は玄関先に置いて本は引き取ってほしい」と告げた。佐々氏は恐縮しながら分いクリアファイルを私に渡し、「健様にはメールで子版を送付済みですが、こちらに机査定の控えと、今続きの程表が入っておりますので」と言い残してった。

は、締め切っていたせいで、埃と湿気が混ざりった独特の気が漂っていた。

母を居の座子に座らせ、エアコンのを最にしてから、私は台所で湯を沸かした。居からは、母が親戚話をかけている声が途切れ途切れに聞こえてくる。

「ええ、そうなのよ敏子です。今無事に退院してね……ええ、それがね、健が『京へ引き取るから実を畳む』って言いしてねえ。ふふ、男って頼もしいわよねえ。え? 麻子? 麻子はほら、元で気楽にやってるから」

私は湯沸かし器の唸る音を聞きながら、佐々氏から渡されたクリアファイルをいた。

をめくると、内の同規模の取引事例がずらりと並んでいた。

【物件所:静岡県徳倉……】 【敷面積:231.4平方メートル(約70坪)】 【建物:昭57築、造瓦葺2階建】 【査定価格帯:2,580万円〜2,780万円】 【解体撤費用概算:約250万円】 【仲介数料・諸経費控除取り定:約2,250万円】

ページをめくると、佐々氏のきによる「ご相談メモ」

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