"3年の介護と兄のタワマン頭金" 第4話
「そういうこと言ってないよ」
私は息をえ、声のトーンを落とした。になったら、このでは即座に「が儘な妹」として片付けられる。
「兄さんが京で買おうとしてる、タワーマンションなんだって。千万円以するやつ。そこのに、このの売却代を丸ごと突っ込む計画になってる」
「当たりでしょうが!」
母は座卓を平で叩いた。湯呑みの茶が揺れた。
「私と同居するために、広くて派なマンションを買うに決まってるじゃない! そのに実のおを使うのが何でおかしいのよ。親の財産を息子の活のために使って、何が悪いの? あんた、自分がをてけって言われたわけでもないのに、何をカリカリしてるの」
「……同居って、本当に確認したの?」
「確認も何も、健がそう言ってるんだから違いあるわけないでしょう! 健は証部の会社で課をやってるのよ。あんたみたいに、元のさな運送会社の平社員とは器が違うの。あの子が嘘をつくわけないじゃない!」
母の甲い声が、古い本の茶のに響き渡った。
の痛みを忘れたかのように、母の目は血り、息子への盲信でぎらぎらと輝いていた。このは、自分が信じたい現実以、何つ受け入れる気がないのだ。父がきていた頃、健の私学の学費や仕送りのために、私の学費用が削られたと全く同じ目だった。
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私はそれ以何も言わず、台所へ戻った。
スマートフォンの通話履歴をき、ヶ以発信していない兄の番号をタップした。
呼びし音が回鳴った、く落ち着いた、いかにも「忙なビジネスマン」を装った声がに届いた。
『はい、望です』
「麻子だけど。今、話せる?」
『あー、麻子か。何? 今ちょうど恵理と翔太を連れてにててさ。にしてくれる?』
背から、子供の笑い声と、洒落たレストランの器が触れう微かな属音が聞こえた。
「さっき実に産が来たよ。都リアルティの佐々さん」
話の向こうが瞬、自然に静まった。子供の声だけがくで響いている。
『……ああ、もうったんだ。仕事がいな』
「私、今が母さんの退院だって先週LINEに入れたよね。留守に回りだけ見させるはずだったみたいだけど、普通に鉢わせたよ」
健は微かに舌打ちをした。本当に微かな、だが受話器越しにはっきりと分かる舌打ちだった。
『別に隠してたわけじゃないよ。ただ、母さんが帰ってきてからバタバタするより、事に数字を固めておいた方が話がいだろ? 段取りってやつだよ』
「段取りね。その数字、見たよ。売却代の受取座が兄さん単独になってること。それから、豊洲のタワマンの決済期が末になってること」
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『……お、の類勝に見るなよ』
健の声から、先ほどのビジネスマンの軽さが消え、く濁った苛ちが滲みた。
『何が言いたいんだよ。母さんを引き取るのは俺なんだぞ? 男の俺が京で引き取って、最まで面倒を見るんだ。そのためにまとまったが必になるのは当然だろ。実を売ったで環境をえるのが、どこかおかしいか?』
「母さんは、その豊洲のタワマンで同居するつもりでいるよ。親戚にそう言って回ってる」
受話器の向こうで、健がふっとで笑う気配がした。
『……あのさ、麻子。現実見ろよ。豊洲の物件は3LDKだよ。俺と恵理と翔太で部は埋まってる。の悪い寄りと同居なんて、恵理がむわけないだろ。ちょっと考えたら分かるだろそんなこと』
たいが、首筋から背を伝って流れ落ちていくような覚だった。
「じゃあ……母さんはどこにまわせる気なの?」
『すぐ所に決まってるだろ。歩いてける距の賃貸だよ。区か、あるいはしれた戸川区あたりのな。エレベーター付きの綺麗な1Kでも借りてやりゃ分だろ。平の昼はうちに来て翔太の面倒を見てもらったり、晩飯作ってもらったりすりゃ、母さんだって寂しくないしボケ防止にもなる。完璧な計画だよ』
自分のを疑った。
の骨折が治りきらず、歩器なしではトイレにもけない歳の母親に、見らぬの1Kで暮らしをさせ、昼は息子のに通わせて政婦とベビーシッターをやらせる。