"4回の救急着信と1ヶ月後の離婚宣告" 第7話
「そうなんだ……」
さやは洗面台へ向かった。
尚弥はまたスマートフォンをいた。既読をつける相も返事を待つ相もいない。ただ最のだけが残っている。昨はみおのだとった。今朝見るとし違って見えた。尚弥はすぐ画面を閉じた。考えすぎだ。みおが本気で何かるようななら3もあんなに活をえたりしない。会社でも同じだった。自分が受け持った仕事を途で放りしたことがない。のことも黒川との付きいも1度引き受ければ最までやる。尚弥はそこをみおの所だとっていた。同に自分かられない理由だともっていた。
さやが戻ってきた。
「朝ごはんかない?」
「で」
「今午からヨット予約してあるよ。覚えてる?」
「ああ」
さやは尚弥の横に座った。
「本当に話しなくていいの?」
「しない」
「みおさんずっと黙ってるよ」
「だから何だ」
「尚弥が気にしてるように見えるからさ」
尚弥はさやを見た。
「気にしてない」
「ならいいけど……」
さやは言ってそれ以言わなかった。
朝の席でも尚弥はスマートフォンをテーブルに置いていた。以ならバッグに入れたままだった。さやがコーヒーをみながら言った。
「今あんまりくないみたい」
「そうか」
「ボートのまでられるって」
「うん」
「なおや」
「なんだ」
「聞いてる?」
広告
尚弥は顔をあげた。
「聞いてる」
「じゃあ私何て言った?」
「がい。ボートのまでられる」
さやはし笑った。
「ちゃんと聞いてるじゃん」
尚弥は返事をしなかった。画面がついた。川からのメールだった。尚弥は瞬みおだとった。その自分に腹がった。メールをく。会議資料の確認依頼だった。尚弥はく返信した。
そのもみおからは何もなかった。さやが茹で卵を皿に置いた。
「べないと。胃が痛くなるよ」
尚弥のが止まった。さやが首をかしげる。
「どうしたの?」
「いや……」
同じ言葉をみおもよく使った。朝を抜くな。酒だけで済ませるな。胃薬はコートの内ポケット。それをいして尚弥はべた。に入れてもはよくわからなかった。
「今のみおさん本当に静かだね」
さやが言った。尚弥はナイフを置いた。
「もうその話はいい」
「ごめん」
「何度も言う必ないだろう」
「配してるだけ。みおのことを……」
さやはしを置いた。「……尚弥のこと」
その答えには尚弥も何も言わなかった。
昼過ぎ、2は予約していたヨットに乗った。は穏やかだった。さやはデッキで写真を撮り、尚弥にも何度も声をかけた。
「なおや、こっち見て」
尚弥は1度だけ顔を向けた。
「もう1枚。いいよ」
「昨より嫌悪くない?」
「暑いだけだ」
「入る?」
「で」
尚弥は子に座った。スマートフォンをく。通なし。
広告
1度閉じる。5分またいた。さやがシャンパンを持ってづいた。
「はい」
「いらない」
「せっかくやしてもらったのに」
「今いい」
さやは向かいに座った。
「みおさんのこと気にしてる?」
「なんでそうなる」
「朝からずっとスマホ見てるから」
「会社から連絡がある」
「会社の連絡ならそんな顔しないじゃん」
「さや」
「何?」
「もういい。今は黙ってて」
さやの表が止まった。昨までならこんな言い方をしなかった。なくともさやには分かった。さやはグラスを持ってった。数歩れてからもう度振り返った。
「私何か悪いこと言った?」
「今は1にしてくれ」
「みおさんのことでしょう」
尚弥は答えなかった。それが答えになった。さやは唇を結び、の方へ歩いていった。
尚弥は話帳からみおを選んだ。指が止まる。朝は自分から話すれば負けだとっていた。今はそんなことより声を聞きたかった。発信した。
呼びし音は鳴らなかった。すぐに自音声へ切り替わった。
「おかげ様になった話は現源が入っていないか波の届かない所にあります」
尚弥は画面を見た。もう1度かけた。同じだった。3回目も同じ。
「何だよ……」
さく声がた。みおは仕事でも源を切ることはほとんどない。会議ならマナーモードにする。寝るも族と会社の緊急連絡だけは取れるようにしている。
尚弥自がそういうみおのやり方に何度も助けられていた。
ラインをいた。く打った。
『お』
『話しろ』
送信。既読かない。