「お幸せに」――大事故で救急搬送される私・みおのスマホに届いたのは、夫・尚弥がシンガポールで昔の恋人・さやと寄り添う写真だった。妻の反対を押し切って二人きりで海外へ行き、傷つくと分かって写真まで送りつけた夫。私はたった一言だけ返し、もう彼を追いかけないと決める。一方、腹腔内出血で緊急手術となった私の病院から、緊急連絡先の尚弥へ何度も電話が入る。だが彼は「拗ねた妻が別の番号からかけている」と思い込み、三度も着信を切っていた。翌日、ようやく私の事故を知った尚弥は旅行を切り上げ、意識のない私の前で自分の選択を思い知らされていく。しかも事故車から回収された一冊の赤いファイルには、あの雨の夜、私がなぜ一人で車を走らせていたのかを覆す記録が残されていた――。