「ああ、義父さん、そこだめ」――結婚初夜の午前2時、私・ひろしが父・源蔵の寝室で聞いたのは、数時間前まで“生理だから触らないで”と私を拒んでいた新妻・さやかの甘い声だった。彼女は父の莫大な資産目当てで私と結婚し、二人で私を「出来損ない」と嘲笑っていた。だが私は怒鳴り込まない。結婚前、さやかの持ち物から父と同じ高級ネクタイピンを見つけ、不審に思って寝室へ証拠用カメラを仕掛けていたからだ。録画を確認すると、裏切りは父だけでは終わらなかった。さやかが本当に愛している相手は、私の高校時代からの親友・達也。さらに二人のメッセージには、父へ薬を飲ませ、遺産を奪った後は私にも同じことをするという恐ろしい計画が残されていた。妻、父、親友――最も信じた三人に囲まれた私は、何も知らない“無能な夫”を演じたまま、逃れようのない証拠を集める。そして父の元顧問弁護士・神崎から、さやかの過去にまつわるさらに不穏な真実を告げられる――。