"結婚初夜の義父不倫と20年目の毒殺計画" 第8話
ただの穀潰しだよ」
さやかが笑った。
「ふふ、ひどい。でもそういうダメなところもひろしさんの嬌ですよね」
で顔を見わせ、声をげて笑う。
私が買いにかされたワインは、これから私と父を葬りるの杯になるというのか。
私はギリッと奥歯を噛みしめた。
りで爆発しそうになるに蓋をして、沈黙を貫いた。
私はロボットのようにをげた。
「申し訳ありません、父さん。が混んでいて」
私はテーブルのにワインボトルを置いた。
さやかがしなやかな取りでちがった。
「さあ、達也さんが来てくれたお祝いの乾杯をしよう。私が注ぐわね」
さやかはワインボトルとオープナーを持った。
キッチンの奥へと入っていった。
カチャカチャとグラスを並べる音が聞こえてくる。
数分。
さやかはのお盆のに、ワインがなみなみと注がれたつのグラスを乗せて戻ってきた。
さやかはグラスを配った。
「はい、お義父さん。そして達也さん。それからひろしさん」
彼女のによって、私の目のにもグラスが置かれた。
ふと見ると、芳醇な赤い液体の表面に、ほんのかな自然なの溶け残りのようなものが見えた気がした。
達也がら笑いを浮かべながら私を促す。
「さあひろし、おもめよ。さやかちゃんがわざわざおのためにたっぷりに注いでくれたんだから」
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さやかが私の目を見た。
「ええひろしさん、最お疲れみたいだから特別に栄養をつけてもらおうとって、たっぷり注いだわ」
さやかの目が、瞬爬虫類のように細くたくった。
背筋に太い氷の柱をねじ込まれたような烈な悪寒がった。
まさか神崎さんの言っていた劇薬。
私の分にも入れたのか。
私がグラスを見つめたまま待っていると、父が嫌に声を荒げた。
「おい、ひろし、何をもたもたしている。嫁がせっかく注いでくれた酒だぞ。さっさとまんか、この甲斐性なしが。せめて酒の席くらい空気を作れ」
達也がニヤニヤと笑いながら私を挑発する。
「そうだよひろし。まさかさやかちゃんののワインがめないっていうのか?こんない奥さんを疑うような男は、見捨てられても文句は言えないぞ」
逃げがない。
もしこのグラスに劇薬が仕込まれていたとしたら。
めば私は確実に命を落とすか、識を失って慮の事故に見せかけられて殺されるだろう。
だがここで拒絶すればどうなる。
なぜまないんだ、何か疑っているのかと問い詰められる。
神崎弁護士と会っていたことや、計画をっていることがバレるかもしれない。
そうなれば、証拠も分なまま力ずくで排除されるのはを見るよりらかだ。
の酷な線が、私の挙投に突き刺さっている。
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静まり返るリビング。
柱計の秒針の音だけが、夜更けにきく響く。
さやかが私の元に顔を寄せた。
甘く毒のような声で囁いた。
「どうしたの、ひろしさん。くんで?」
私はきく息を吸い込んだ。
震える指でゆっくりとワイングラスの脚を握りしめた。
絶体絶命。
完全に追い詰められた私の喉元に、見えない神の鎌がたく押し当てられていた。
さやかの甘く毒々しい声が元でねっとりと絡みつく。
私ののにある、なみなみと注がれた赤ワイン。
その奥で致の何かが静かに渦を巻いているのが分かる。
めばぬ、あるいは廃にされる。
だがまなければ彼らに警戒され、決定な証拠を掴むに力ずくで排除される。
の酷な線が私の挙投に突き刺さる。
私はさく息を吐き、静かにグラスを持ちげた。
「ありがとう、さやか。君の、しっかり受け取るよ」
私はグラスを傾け、元へと運んだ。
達也の角が釣りがった。
さやかの目が歓に見かれる。
父、源蔵が満げにを鳴らした。
その瞬。
「あっ!」
私はわざとらしく、元のラグにきくつまづいた。
バランスを崩した私の体は方へ倒れ込んだ。
からすっぽ抜けたワイングラスが、美しい放物線を描いた。
向かいのソファでふんぞり返っていた達也の胸元に、激しく直撃した。
ガシャン!
砕け散るグラスの音と共に、達也の鳴がリビングに響き渡る。