"結婚初夜の義父不倫と20年目の毒殺計画" 第16話
唾をばして喚き散らすさやか。
しかし、私はピクリともかなかった。
ただ静かに、れなピエロを見ろすようなややかな線を向けたまま、主公の沈黙を貫いた。
恐怖など微もじていない私のその態度が、彼女の勘に触ったのだろう。
さやかは叫んだ。
「その余裕ぶった顔、ムカつくのよ!ねえ!」
さやかは叫びながら赤いボタンを力任せに押し込んだ。
カチッ。
乾いたスイッチの音が静まり返ったリビングに響いた。
達也は「ひいっ!」と鳴をげてに突っ伏しを抱えた。
井の隅に設置された最式の換気システムから、プシューッという音と共にい気体が勢いよくリビング全体に噴射される。
さやかは狂ったように笑いした。
「あはは!吸い込みなさい!10秒で全が麻痺してもがき苦しんでぬわよ!」
10秒経過。
20秒経過。
に伏せていた達也が恐る恐る顔をげた。
「あれ?」
マダム麗子も神崎弁護士も、誰として苦しむ様子はない。
それどころか、リビングには呼吸したくなるような極のりが漂んでいた。
さやかはパニックに陥った。
「毒ガスのはずなのにどうして誰もなないのよ!」
何度も何度もリモコンのボタンを連打した。
カチカチカチ。
しかし噴射される気体からは、ただ良いりがするだけだ。
私はゆっくりとをいた。
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「リラックス効果抜群の級ラベンダーのアロマだ。良いりだろう」
さやかは驚愕した。
「ええ!?」
私は酷な笑みを浮かべた。
さやかに衝撃の逆転の事実を突きつけた。
「おたちがの空調システムを改造し、院から受け取った神経毒のボンベを根裏に仕掛けていたことなど、が社の監システムで数には完全に把握していた」
私は続けた。
「俺はサイバーセキュリティのプロだぞ。この居のスマートネットワークを俺が監していないとでもったか。あの毒ガスボンベは、3に俺の部たちが全なアロマオイルのボンベにすり替えておいた。おは今俺たちに極のリラクゼーションを提供してくれただけだ」
さやかはリモコンをに叩きつけた。
「そ、そんな嘘よ!嘘よ!」
髪を振り乱して発狂した。
突如からね起きた達也が、さやかの頬を渾の力で平打ちした。
パーン!という破裂音が響き、さやかはに転がった。
達也が鳴る。
「ふざけるなこのクソ女!てめえの浅はかな計画のせいで全部パーじゃねえか!俺はエリートなんだぞ!てめえみたいな底辺の毒婦に巻き込まれて終わってたまるかよ!」
さやかは鳴り返した。
「痛っ、何すんのよこのヘタレ男!元はと言えばあなたがひろしさんの正体を見抜けなかったからじゃないの!」
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互いに罪をなすりつけい、取っ組みいの喧嘩を始める達也とさやか。
つい先ほどまでしていると囁きい、私を嘲笑っていたの悪魔が、今やまみれの野良犬のように罵のしりい、互いを引っ掻き回している。
まさに阿叫喚、醜悪の獄絵図だった。
その、のからけたたましいサイレンの音がづいてきた。
数台のパトカーが居を包囲し、赤い回転灯のがリビングの窓を照らしす。
「そこまでだ!しくしろ!」
踏み込んできたのは、武装した警察の特殊部隊。
そして、その陣指揮を執りながらリビングに入ってきたな物の姿に、私はしだけ目を見張った。
私は言った。
「伊達……伊達警部」
現れたのは警庁捜査課の伊達警部。
実は彼は、20にくなった私の母の幼馴染みだった。
伊達警部が私に声をかけた。
「久しぶりだな、ひろし君。君からのタレコミと神崎先からの証拠のおかげで、ようやくこの匹どもを網打尽にできる」
当から母のに疑問を抱き、密かに院と父の周辺を捜査し続けてくれていた恩だ。
伊達警部の号令で警察官たちがいた。
「達也並びに偽名さやか。盗殺未遂及び過の連続殺容疑で逮捕する!」
警察官たちが達也とさやかを取り押さえた。
たい錠がガチャンとかけられた。
達也が叫んだ。
「せ、俺は関係ない!全部この女がやったんだ!」
さやかも叫んだ。