"一度死んだ「秋田涼」と7歳の孤児" 第7話
と言って俺の肩をポンと叩いた。
母さんがロウソクにを灯し、皆でをう。
「ハッピーバースデーツーユー……」
俺は目を閉じて、1つだけ願い事をする。
「この族とずっと緒にいられますように。」
息を吹き消すと、母さんは優しく俺にケーキの切れをくれた。
まれて初めてべるホールケーキの。
その甘さと温かさが俺のを完全に満たした。
「本当にうちに来てくれてありがとう。」
母さんは俺の頬についたクリームを拭いながら、そう言って微笑んだ。
「施設では自分の名しかなかったけど、もう俺は田涼なんだよね。」
俺がそう言うと、母さんはまたし目元を潤ませた。
「そうよ。あなたは田涼。この名はね、本当に特別なのよ。」
そのの母さんの言葉に、俺は初めて自分の名に特別ながあるのではないかとじた。
母さんが俺に会ったに言った「涼君っていうのね」というあの言葉。
そしてあの見た写真の幼い。
俺は母さんに尋ねたかった。
なぜ俺の名が特別なのか、続きのの父の言葉はどういうなのか。
しかし、幸福なのにいるとそんな質問はこの穏やかな常を壊してしまう野暮な為のようにえた。
あの頃の俺は、ただ純粋にこの名でこの所できていくことのびをじていた。
「涼」
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と呼ばれるたびに胸が温かくなったのだ。
俺を呼ぶ母さんの声、父さんの線、その全てが俺のを肯定してくれていた。
施設で育った俺にとって、名はただの記号でしかなかった。
しかし田に来てから、それはされている証拠に変わったのだ。
このの記憶は、20経った今も俺のをく支えている。
だからこそ、なおとの結婚を控えた今、あの戸籍謄本にかれていた「実子」という文字やの違が俺のにさなトゲとして刺さったことがひどく恐ろしかったのだ。
俺は、この温かい族の絆にしでも偽りがあることを何よりも恐れていた。
俺は田涼だ。
俺は父さんと母さんの息子なんだ。
その過が、あの戸籍謄本によって揺らぎ始めていることに俺は気づかないふりをし続けている。
なおとの婚姻届を提するが刻々とづいていた。
俺のは最の女性と結ばれるびに満ちているはずなのに、クリアファイルのにあるあの戸籍謄本がどうしても気になって仕方なかった。
「実子」、と誕の微妙な違い。
なおには笑ってごまかしたが、結局父さんや母さんに聞くことはできなかった。
彼らが俺に注いでくれたに何の偽りもないことをっているからこそ、その裏側にあるかもしれない秘密をるのが怖かったのだ。
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だが、このさなトゲを抱えたままなおと結婚し、しいを始めることはできない。
この違を解消しなければ、俺はから田涼としてなおの夫になることができない。
を決した俺は平に会社を半休にして、実のある町とはしれた、本籍を統括する役所へと向かった。
受付でし緊張した面持ちで婚姻届の提に必な類について尋ねるふりをしながら、俺は職員に声をかけた。
「あの、実は戸籍謄本の内容で確認したいことがありまして……」
俺は自分の戸籍謄本に記載されている「実子」という部分が、養子縁組をしたでも般な記載方法なのかという素朴な疑問から切りした。
職員は慎に俺の戸籍謄本を確認し、落ち着いた調で答えた。
「はい、田様の戸籍では続き柄は『実子』と記載されていますね。般な普通養子縁組の続きをしたには『養子』と記載されるのが通常です。ただし、普通養子縁組の続きではなく『特別養子縁組』という続きを取った、実子と同じ続き柄で記載されるケースがございます。」
俺はので父さんが言っていた「続きがし複雑だが、うまくやる」という言葉を反芻した。
もしかしたら、父さんは俺に実子と同じだけの権利とを与えようと、「特別養子縁組」
という続きを選んでくれたのかもしれない。
そうであれば、あの「実子」という記載にも納得がいく。
俺のがし軽くなった。