"義父を八年看取った夜、手切れ金は三万円" 第15話
美子は、差し押さえを免れるために武蔵野のマンションから夜逃げ同然で姿を消したが、連帯保証として背負わされた数千万円の債務から逃れられず、方のスナックを転々としながら返済に追われているという。
子も健も、町内会で「親の遺産を盗もうとして逮捕されかけた兄妹」としての悪名が広まり、み慣れたを追われるようにして引っ越していった。
誰として、幸せになった者はいなかった。 自らが撒いた悪の種を、自らのですべて刈り取らされたのだ。
私は、メールを静かに閉じた。
私ののには、もはや修に対する憎しみも、りも、復讐の残りすらしなかった。
ただ、通り過ぎていった嵐の記憶のように、たく乾いたがあるだけだった。
縁側の隅に、あの古いナショナル製のラジオカセットが置かれている。
私はスイッチを入れ、カセットテープの再ボタンを押した。
テープの最。 源造が、の直に振り絞った、あの言。
『……としこ……。おまえが……わしの……ほんとうの、娘だ……。自由に……きろ……』
ノイズの向こうから聞こえるその声を聴きながら、私はく息を吸い込んだ。
澄み切ったのが、庭の犀の甘いりを運んでくる。
「お義父さん。私、今、すごく自由です」
私は空を見げ、呟いた。
に傾いた夕が、私ののの湯呑みを、黄のでかく包み込んでいた。