"祭り食堂の逆襲" 第7話
うちには、このでの実績がないからな」
い沈黙を破り、が恐る恐るをいた。
「……を、当たることはできないんですか?」
はゆっくりと首を振った。
「当たった。だが、どちらの会社も規模がりず、の条件を満たせない。100億の駅事をこなせる元の会社は、柏建設しかなかったんだ」
は、元の辞退届の面をドン、と机に置いた。
「今付けで、契約はになる。100億は、消えた」
会議の空気が完全に凍りつき、誰かが座り直す子のきしむ音だけがやけにきく響いた。
窓ので、くの事両のバックブザーが「ピー、ピー」と鳴っているのが、やけにく鼓膜を打った。
が、青ざめた顔のままさらに聞いた。
「あの……柏建設は、それで困らないんですか? 向こうにとってもきな仕事のハズじゃ……」
「困らない」
が即座に答えた。
「向こうは、次に決まるところと組むだけだ。元の優良企業は、のどこからも引っ張りだこだからな。1円も損しない。……困るのは、うちだけだ」
「じゃあ、うちは……」
「振りしどころか、内定していた契約ごと消えるんだ」
岩田は、子に座ったまま全くかなかった。膝ので固く握っただけが、微かに震え、ゆっくりといてはまた閉じた。
(この案件は、俺の最の実績になるはずだった。来の本社への栄転事も、幹部への世コースも、全部この案件の成功のに成りっていたのに……)
「……理由は、何ですか?」
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静寂の、そう聞いたのは部の隅に座っていた瀬川だった。
がい首を振る。
「昨、先方の社に話で尋ねた。だが、確な理由は言わなかった。ただ、言だけ……」
は、机のの面をもう度睨みつけた。
「『さな約束を平気で破る会社とは、きな約束はできない。信用の問題です』と」
その瞬、岩田の膝のの指がピタリと止まった。
ので、つの記憶が閃のようにった。当たりが、つだけあった。
(あの話だ。あの、ボロ堂のキャンセルの話だ……!)
だが、岩田はすぐにのでそれをく打ち消した。
(いや、ありえない。あんな底辺の定のキャンセルつが、100億の事業に関係あるはずがない。絶対にありえない! 共同企業体の話は、部同士のトップでんでいたはずだ。たかがの予約が、どこでどう繋がるというんだ!?)
が、鋭い目で会議の全員を見回した。
「うちの何が問題だったのか……当たりのある者はいるか?」
の線がを射抜く。だが、岩田は元の資料に目を落としたまま、決して顔をげなかった。
会議をるも、岩田は誰とも目をわせず、に自分のデスクへと戻った。
その夜。
祭り堂の片付けを終えたけい子は、座敷のテーブルで健太と向かいって遅い夕飯をべていた。
「あのお兄ちゃん、また来るかな?」
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健太が、お茶碗にご飯を残したまま、ぽつりと言った。
けい子は優しく微笑んだ。
「さあ……忙しいみたいだったからね」
「今度来たら、ちゃんとお礼言いたいんだけどな」
けい子はさく笑った。
「母さん、なんで笑ってるの?」
「健太も、ちゃんといろんなこと考えてるんだな、とって」
建設で何が起きているかなど、けい子はまだ何もらなかった。彼女の常は、しずつだが着実にを向いていた。
方、建設の支では、部の執の究が始まっていた。
そのから支の空気が変し、は現の担当者を順番に別へ呼びし、ずつ徹底に話を聞いた。
「柏建設と接点のあった者はいないか」
「港台の現に入りした者は?」
そして、こうも付け加えた。
「柏社がりた理由に当たりのある者はいないか。何でもいい。どんなにさいことでもいいから話せ」
だが、社内の誰もをげなかった。岩田も、を固く閉ざしたままだった。
その週から、の態度があからさまに変わった。
岩田の隣の席に座らなくなり、昼も緒にへなくなった。廊ですれ違いそうになると、元の類をに見ているふりをして、岩田を避けるようにに通り過ぎた。
岩田は夜、誰もいないタワーマンションの18階の部で、港台のプロジェクト資料を何度も何度もいた。