"年収400万円の総務担当と6000万円の顧問契約" 第4話
30代半だろうか。
鏡の奥の目が鋭く私を見ている。
彼はちがり、をげた。
「佐藤さん、初めまして。アークスの共同創業者、です」
席に着くと、私は単刀直入に切りした。
「さん、率直にお伺いします。どうやって私のことを見つけられたんですか?」
彼はふっと笑った。
「昨、私たちは商事さんの経営診断プロジェクトを担当しました。そので非常に興いことに気づいたんです」
私は黙って彼の言葉を待った。
彼はし傾姿勢になった。
「商事の8つの部署で使われている量の業務フロー、テンプレート、SOP。その全てが寸分違わぬスタイルで、1ののによって作られていた」
私は黙っていた。
彼は続けた。
「私たちは当、商事の方々に尋ねました。これはどなたが作ったんですかと。誰も答えられなかった」
彼は微笑みを消した。
「最に、あるベテラン社員が教えてくれたんです。それは総務の佐藤エミさんだと」
彼は1冊のファイルを私のに滑らせた。
「あなたが作った顧客クレームの分類システム。私たちが持ち帰って分析しました。ロジックが驚くほどで無駄がない。あなたが作った取引先の評価体系も、そこらのコンサルティング会社が作るものよりよほど実践で優れていた」
私はファイルに目を落とす。
広告
見慣れた、私が作った資料だった。
私は顔をげて答えた。
「どれも々の業務のでついでに作ったものです。した技術じゃありません」
彼は真剣な目で私を見つめた。
「これをした技術じゃないと?」
彼はしを乗りした。
「佐藤さん、商事には会社を支える完璧なオペレーションシステムがします。そしてそのシステムの核をたった1で構築したのが、あなただ。でもあなたの役職はただの総務担当」
彼は私の目をまっすぐに見た。
「これが何をするか分かりますか?」
私は静かに問い返した。
「どういうでしょうか?」
彼ははっきりと答えた。
「商事は、1の総務担当の料で実質なオペレーション部を雇っていたということです」
私はされたをんだ。
彼は真剣な表に戻った。
「佐藤さん、単刀直入に言います。私はあなたを総務部として採用したいわけではありません」
私は持っていたグラスをテーブルに置いた。
「では、何として?」
彼は力く答えた。
「オペレーションパートナーです」
会議は数秒、静寂に包まれた。
彼はノートパソコンをき、企画を画面に映しした。
「これを見てください。私たちがこれから始めようとしているしい事業です。企業向けのオペレーションシステム構築サービス」
広告
彼は私の顔を見た。
「あなたが商事でやってきたこと、それをパッケージ化して社員50から300規模の会社に販売するんです」
私はその企画に目をらせた。
彼が私の仕事をく研究していることは目で分かった。
彼は条件を提示した。
「基本プラス成功報酬で、初度の最保障収は1000万円。事業が軌に乗れば、利益に応じたインセンティブをお支払いします」
1000万円。
商事での私の収は400万円だった。
私はし考えてから言った。
「さん、し考えさせてください」
彼は頷いた。
「もちろんです。急ぎません」
アークスのオフィスをて、層ビルのでち尽くす。
空はどこまでも青く、差しが眩しい。
その、スマホが鳴った。
田さんからだ。
たくなかった。
また鳴る。
仕方なく通話ボタンを押した。
話にるなり、彼は叫んだ。
「エミさん、変なことになりました!」
私は落ち着いて尋ねた。
「どうしたんですか?」
彼は息を切らしながら説した。
「鈴社が、渡辺副社の主張を検証するために、各部署に業務のリストアップを命じたんです」
私は黙って聞いていた。
彼は続けた。
「これらの仕事は本来各部署がやるべきことで、総務担当がに引き受けてまでやることではない。っていうのが渡辺副社の言い分で、彼は会議でこう言ったそうです」
彼はそこでし声を落とした。
「佐藤がこの会社にいた最の問題は、自分のをわきまええず、あちこちにをしすぎたことだと」