"年収400万円の総務担当と6000万円の顧問契約" 第9話
彼女が顔をげて尋ねた。
「佐藤さん、それで最初のクライアントはどこになる予定ですか?」
私は答えた。
「もう決まってるわ。商事。来週には先方から連絡が来るはずよ」
5のメンバーが顔を見わせた。
「商事って、あの、佐藤さんがつい最までいらっしゃった?」
私は頷いた。
「そうよ」
彼らの差しが、戸惑いから何か得体のれないものへの畏敬のへと変わっていくのが分かった。
営業の彼が、をかきながら呟いた。
「それって何というか、むちゃくちゃハードじゃないですか?」
私は微笑んだ。
「ハードじゃない。確なのよ」
った通り、曜の午、商事の総務部からアークスコンサルティングに話があった。
鈴社が直々に承認したプロジェクト。
案件名は『商事株式会社業務管理システム最適化』。
予算は1000万円。
そして窓担当者の名を見て、私はので静かに息をんだ。
営業課、田健。
田さん、苦労をかけるわね。
商事のプロジェクトが正式にキックオフし、さんは林さんと2のアナリストを連れてクライアント先でのヒアリングを始した。
私は方支援に徹し、プランの骨子を作り、テンプレートを準備する。
全ての資料から、私の名は消した。
第週目のヒアリングが私の元にまとめられて送られてきた、私は予の事実に気づいた。
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商事の混乱は、私がいた頃に像していたよりもずっと刻だった。
田さんのヒアリング記録。
『エミさんがいなくなってから、8つの部署の仕事は本当に誰もやらなくなりました。渡辺副社は各部署に分担させろと言いましたが、結局部署ごとに割り振られたのは3つか4つのタスクだけ。それでもどの部署も忙しくてが回らないと』
マーケティング部のヒアリング記録。
『はエミさんがいるのが当たりすぎて、彼女がどれだけの仕事をしていたかなんて考えたこともなかった。彼女がいなくなって始めて、毎のイベントスケジュール調というたった1つの業務のためだけにしくを1雇わなければならないと気づいたよ』
技術部のベテラン社員のヒアリング記録。
『佐藤さんがExcelで作ったあの管理ツール。見た目はアナログだけど本当に使いやすかった。今会社が導入したしいプロジェクト管理ソフトは、みんな使い方が分からなくて。研修を3回もやったのに誰も覚えられない』
そして、最も私を驚かせたのは経理部の言葉だった。
『佐藤さんが毎伝ってくれていた次照は正確率100%だった。彼女がいなくなって最初の、いきなり財務諸表にミスがて監査法から指摘を受けてしまったんだ』
私はそれらの記録を静かな気持ちで読んでいた。
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認められて嬉しいわけでも、同してしいわけでもない。
ただ、ああ、やっぱりそうだったのか、という静かな納得があるだけだ。
さんが私のオフィスのドアをノックした。
「読みましたか?」
私は頷いた。
「ええ」
彼は尋ねた。
「プランは作れそうですか?」
私は自信を持って答えた。
「作れます。元々私がゼロから作ったシステムです。1度解体してパッケージ化し直すだけですから」
私は懸事項を伝えた。
「でも1つ問題があります」
彼は聞き返した。
「何です?」
私は分析を伝えた。
「このプランが商事で実能かどうかは全て、渡辺カイトという男にかかっています。彼が会社にいる限り、このプランはにのついたものにはなりません」
私は理由を説した。
「彼のやり方はトップダウンの集権型。私が作ったシステムは部署の連携をした分散協調型。根本にが矛盾しているんです」
さんはし考えた。
「それは々が関与できる問題じゃない。私たちはプランを納品するだけだ」
私は頷いた。
「分かっています」
私は1週でプランをきげた。
納品資料は全部で68ページになった。
さんは完成したプランをに取ると、自分のオフィスで10分ほど黙って座り込んでいた。
やがて彼は言、こう言った。
「エミさん、これは1000万円の価値がある」
私は首を振った。
「いいえ、違います。本当の価値はその10倍以」