"「3人まとめて連れてけ」と年商1200万円の妻" 第28話
3、かずやから浅井先を通して連絡が来た。
ゆいのノートを返したいという内容だった。
私はゆいに渡した。
ノートはよりくなっていた。
表の角が丸くなって、裏には病院の受付で押されたらしいさな印鑑の跡がついていた。
誰かが何度もこれをいたということだ。
ゆいはノートをに取って、表の鉛の字をしばらく見ていた。
それからゆいが言った。
「これおばあちゃんにあげる?」
私が聞いた。
「いいの?」
ゆいは笑顔で頷いた。
「うん。だって私のおばあちゃんの血圧だから」
私はそのノートを封筒に入れて浅井先の事務所へ送った。
同封したのは1枚のだけだ。
文面は浅井先に1度見てもらった。
を入れない。
件だけをく。
この5ヶで私はそのき方を覚えた。
『2の10からの記録です。いたのはゆいです。次に病院へかれるお持ちください』
4に入って、みよ子からが来た。
事務所を経由した2枚の便箋だった。
いではなかった。
最の3だけは今でも覚えている。
『うるさいと言ったのは私です。あの子は毎朝来ていました。それをうるさいと言ったのが私です。ノートは切に使わせてもらいます』
謝罪の言葉はなかった。
それで良かったとう。
謝られても2は戻らない。
戻らないものを無理に戻したふりをするより、覚えていてもらう方がいい。
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私はそのをゆいに読ませなかった。
いつかこの子がになって、自分で読みたいと言ったら渡そうとっている。
4の終わり、優馬が3になった。
ナツキは学3に、ゆいは学6になった。
居の机は今も扉のない所にある。
子供たちが横を通るたびに画面が見える。
見られて困る仕事は1つもしていない。
5の連休に優馬が模試の判定を持って帰ってきた。
優馬がを見せた。
「がった」
私が笑った。
「そう」
優馬がし自げに言った。
「机が広いと集できるらしい」
優馬はそう言って自分の部に戻っていった。
8、ナツキが吹奏楽部の最のコンクールにた。
今度はから2列目の子だった。
11、ゆいが学の作文でクラス代表に選ばれた。
題は「毎続けたこと」だったが、私はそのを読んでいない。
私が「読ませて」と言ったら、ゆいは考えてから「まだいい」と言った。
いつか読ませてくれるだろうとっている。
そして1が過ぎた。
39の曜、優馬が第志望の国に受かった。
発表は昼だった。
優馬は自分の部で確かめて、それから居にてきてこう言った。
「あった」
私は仕事の画面を閉じた。
閉じてから涙がた。
泣くつもりはなかった。
格は本の力で私は何もしていない。
それでも1半の9に判定のを持ってきた夜のことをいしたら止まらなかった。
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あの夜この子は、あのを私にだけ持ってきた。
父親に見せる所があのにはなかったからだ。
ナツキが優馬の背を叩いた。
妹のゆいがびねた。
囲まれた本はし困った顔をしていた。
そのの夕方、優馬は自分からかずやに話をかけた。
私は台所にいたので、優馬の声だけが聞こえた。
「受かった」
「うん」
優馬は窓のを見ながら話していた。
「ありがとう。でもお祝いは丈夫」
それだけ言って切った。
で聞いたら、かずやは「父さんも嬉しいぞ。お祝いに何か買ってやる」と言ったらしい。
私が尋ねた。
「なんで断ったの?」
優馬は平然と答えた。
「今欲しいものがないから」
優馬はそう答えた。
嘘だとう。
この子はスニーカーを2履いている。
でも私はそれ以聞かなかった。
学の費用は取り決め通り、かずやにも部を負担してもらっている。
入学と授業料の話は浅井先を通して先に決めてあった。
その分は払われている。
毎の3万円も遅れたことはない。
払われるものは払われる。
戻らないものは戻らない。
その2つは別の話だと、優馬はもう分かっているのだとう。
かずやとみよ子のそのはづてに聞いている。
事のは週に2回来ているらしい。
みよ子は自分で薬を並べるようになって、血圧の帳も自分でいているという。
かずやは洗濯の使い方を覚えて、ゴミのを携帯に登録したそうだ。
のには、町内会の集にも自分でったらしい。
「所のが驚いていた」とナツキの友達の母親から聞いた。
回るようになったならそれでいい。
回していたがいなくなってから回すようになったというだけの話だ。
2は同じで暮らしている。
私は旧姓に戻さなかった。
3の姓を変えないためだ。
優馬の受験の類も、ナツキの学籍も、ゆいの卒業証も、全部この姓でいている。
代わりに号だけが岡野のままだ。
取引先の社さんに「岡野さんってどなたですか」と聞かれたことがある。
私が「私です」と答えたら、そのは笑った。
そうかもしれない。
牧えみと岡野のえみで19分働いた。
8に旧姓を残したくてつけた名が、今も仕事の板になっている。
副業は注を2に増やした。
取引先は8社になった。
売を増やす気はない。
増やせばまた夜がくなる。
今は午8にはパソコンを閉じる。
子供の話を聞くが1に1ある。
ゆいは学の話をよくする。
ナツキは友達の話をする。
優馬は学のパンフレットを読みながらサークルの話をする。
した話ではない。
そういうことを聞けるがあのにいるはなかった。
あの頃の私なら「そんな贅沢はできない」
と言っただろう。
できた。