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"5足の男物スリッパと偽装不倫の罠" 第29話

私は初めて、自分の暮らしを守る文章に署名した。

帰り、私は裕介に言った。

「しばらく別々の寝で暮らしたい。夫婦を続けるかどうかも、をかけて考えたい」

裕介はすぐに頷いた。

「わかった。俺は待つだけじゃなくて、変わったところをで見せる」

その夜から、彼は族の連絡を1で抱えなくなった。

弁護士への報告も類の保管も、私に隠さず共した。

母親の話をするも、私の反応を誤魔化さなかった。

さなことだった。

けれど、さなことを積みねられなかったから、ここまで壊れたのだ。

私はそのささを軽く見ないことにした。

、私はしい仕事部の扉にさな札をかけた。

咲 仕事部』とだけいたい札だった。

苗字を漢字でくか迷ったが、今は自分の名をゆっくり見たかった。

裕介はその札を見て、何も言わなかった。

褒めることも、寂しそうにすることもしなかった。

私が決めたことを、ただそのまま受け止めた。

それが今の私には、できた。

扉の向こうに、私のが戻ってきた。

仕事部を移した隣の部には、古い机だけを置いた。

しい具は買わなかった。

すぐに元通りの活を作る気にはなれなかったからだ。

机の引きしには、ノートを入れた。

付と刻、映像の保先、弁護士からの連絡。

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そして、最のページに1だけいた。

『私は、私の違を信じる』

その1いた、胸の奥にあったいものがし解けた。

声で勝ったわけではない。

誰かを泣かせて満たされたわけでもない。

ただ、めと言われたものをまなかった。

けろと言われた部けなかった。

黙れと言われたで、事実だけを差しした。

それだけで、私は自分を守ることができたのだ。

かったのではない。

壊れないように、ずっとしていただけだった。

づく頃、あき子さんが回覧板を持ってきた。

玄関先で彼女はしだけ笑った。

「最、顔が良くなったわね。余計なことかもしれないけれど、したの」

私は「ありがとうございます」とげた。

なら、所にられることを恥だとったかもしれない。

今は、見ていてくれるがいることをありがたいとえた。

そのの午、私は久しぶりに仕事の取引先へ連絡した。

しばらく休んでいた理由を細かく話す必はなかった。

ただ、「来週からしずつ再したい」と伝えた。

は「無理のない範囲で」と言ってくれた。

その言葉を聞いた、私は机のの資料を1枚だけいた。

仕事部は傷つけられた所ではなく、また私が積み直せる所になり始めていた。

では、裕介が2分の湯呑みを用していた。

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よりれた席に置かれている。

その距が、今の私たちにはちょうど良かった。

彼はそれだけ言った。

「お茶、置いておく」

私は湯呑みをに取り、りを確かめた。

ただのほうじ茶だった。

それでも、にするまでにがかかった。

裕介は急かさなかった。

まなくても良いという空気を、初めて作ってくれた。

私はだけんだ。

温かさが、ゆっくりと喉を通った。

その夜、私はしい仕事部で久しぶりにく眠った。

音に目を覚ますこともなかった。

机の引きしを確かめるために起きることもなかった。

朝になり窓をけると、くの商から焼き魚の匂いが流れてきた。

どこかので、いつもの朝が始まっていた。

私は古いノートを閉じた。

証拠として必なものはきちんと保管してあるけれど、毎それを見てきる必はない。

のり子が失ったものはではなかった。

親戚の信用と、息子に無条件で受け入れられるだった。

族という言葉を盾にしたは、その盾を自分で壊したのだ。

私は、誰かの嫁というだけできるのをやめた。

夫の母に認められるために、自分をさくすることもやめた。

私の名類にあることを、もうろめたくわない。

この先、裕介とどんなを選ぶのかはまだ分からない。

れて暮らすが来るかもしれない。

もう1度、同じで笑えるが来るかもしれない。

ただ1つだけ決めている。

私の尊厳を踏みにじるを、族という名で絶対に受け入れない。

机のに、朝のが差した。

私は今の仕事の資料を広げ、帳へ最初の予定をいた。

誰にも奪われない私の1が、始まっていた。

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