みかん小説
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"港に妻を捨てた次期社長候補の末路" 第14話

泣き腫らした目は仕方ないけど、髪は裏切らないから」

母の紹介で、商の古い美容った。

配の美容師さんは私の事など何もらないのに、「し軽くしましょうか」と言って、丁寧に毛先をえてくれた。

シャンプー台で目を閉じると、温かいお湯が皮に流れ、久しぶりに体の力が抜けた。

鏡のの私は、映画にてくるようない女には見えなかった。

でも、ただな置いてかれた女だけでもなかった。

パーティー当、会は森崎グランドホテルの宴会だった。

なシャンデリアが眩しくり、真っいクロスのテーブルが然と並んでいる。

入りには、創業きな胡蝶蘭のがいくつも飾られていた。

私は受付で名を告げた。

「森崎美緒です」

受付の若社員が瞬だけ目を見いたが、すぐに訓練された笑顔を作った。

「お待ちしておりました」

に入ると、ざわめきがさざ波のようにいた。

夫は壇くで、力な取引先と談笑していた。

私に気づいた瞬、彼の表が完全に固まった。

その隣には、さやがっていた。

写真で見た通りの女性だった。

ベージュのドレス。元のきなパール。

くで見ると、像していたよりもずっと落ち着いた顔をしていた。

勝ち誇っているわけでも、怯えているわけでもない。

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ただ、どこかひどく疲れているように見えた。

夫がづいてきた。

「来るなと言ったはずだ」

笑顔のまま、歯のから押し殺した声をす。

「招待されています」

「美緒、頼む。今は何もするな」

頼む。

夫のからその言葉を聞くのは、本当に久しぶりだった。

「私は何もしません」

「本当だな」

「ええ」

私は夫の袖を見た。

何度も神経質に直した跡があるのか、そこだけしシワになっていた。

式典が定刻通りに始まった。

の挨拶、来賓の祝辞、記映像の放映。

なスクリーンには、古いホテルの観写真、創業者の黒写真、若い頃の貴子さん、そして幼い夫がロビーで束を持つ写真が映しされた。

のみんなが温かい拍をした。

森崎の歴史は、美しく完璧に編集されていた。

やがて、夫の挨拶の番になった。

彼は壇ち、マイクので余裕のある微笑みを浮かべた。

落ち着いた響く声で、社員への謝、取引先への敬業を受け継ぐ覚悟を滑らかに語った。

「ホテルとは、お客様がして戻れる所であり続けることだと、私は考えております」

戻れる所。

私はグラスを持つに、ぐっと力を入れた。

夫の言葉は美しく滑らかだった。

誰もが聞きやすい、よくえられた言葉。

こういうの彼は、本当にだった。

私がした期の玲も、確かにそこにいたのだ。

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挨拶が終わり、きな拍が起きた。

その直、司会者が台本通りにるい声で言った。

「ここで、森崎常務を支えてこられた奥様、美緒様にも言頂戴できますでしょうか」

線が斉に私に集まった。

夫の顔から、さっと血の気が引いた。

この言挨拶は、元々の台本にあったものだ。

ご令として謝を述べるだけの、お飾りの役。

夫は私が来ない提で削除したとっていたのだろう。

けれど、広報部の表にはしっかりと残っていた。

私は何も加えていない。

ただ、消されなかった自分の席に座っただけだった。

私はゆっくりと壇がった。

マイクのつと、会の広さとさが急に迫ってきた。

取引先、社員、義母、さや、夫。

すべての線が息を潜めている。

「森崎美緒でございます」

自分の声は、ったよりもずっと落ち着いていた。

「本は創業、誠におめでとうございます。私自は未熟で、森崎のに嫁いでからも学ぶことばかりでした」

貴子さんが、最列でしだけ頷いた。

私は言葉を区切って、続けた。

「ホテルとは、戻れる所である。先ほど夫がそう申しました。私も、その言葉はとても切だといます」

夫が私をく睨みつけた。

「ただ、戻れる所であるためには、そこにいるを、都によって置きりにしないことが必なのだと、この数で学びました」

の空気が、ピタリと止まった。

夫が歩、いた。

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