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"追い出された四畳半" 第10話

の警官が須藤の両腕を挟み込み、壁に押し付けた。 狭い玄関の壁が、ミシミリと鈍い音をてて軋む。 須藤のネイビーのスーツが乱れ、固められた髪が額にみっともなく垂れがった。

矢代監察官が、私のて、帳を閉じた。 その表は、依然として徹だった。

「宇佐美さん。本宅の正転貸および名義偽造については、公社として正式に告発状を受理しました。須藤氏には任を求め、徹底に追及します。また、桐原莉緒氏に対しても、同居承認の取り消しおよび即退勧告を発名します」

「……はい」

「ただし」 矢代は声を落とし、私だけに見えるように線をくした。 「須藤氏の背には、複数の悪質な融ブローカーが絡んでいます。警察が今から任で事聴取をいますが、逮捕勾留に持ち込めるかどうかは、押収した証拠の精査次第です。最悪の、取り調べを拒否して数で戻ってくる能性もゼロではない」

矢代の言葉に、私の背筋が再びたく凍りついた。 本の刑事続きの現実。 令状のない任では、相を割らなければ、法な拘束はごくわずかに過ぎない。

「宇佐美さん、荷物をまとめて、今すぐ避難所へ移ることをお勧めします。々が配できますが」

私は、居の奥でガタガタと震えている莉緒を見た。

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そして、玄関で警官に両腕を掴まれながら、血った目で私を睨み殺そうとしている須藤を見た。

「……いえ」 私は静かに首を横に振った。 「ここに残ります」

「危険ですよ」 矢代が眉をひそめた。

「母が残してくれた部です」 私の声は、震えていなかった。 「私がここから逃げたら、彼女たちは本当にこの部をめちゃくちゃにして、証拠を全部消して逃げてしまいます。……それに、まだ終わっていません」

須藤が隠し持っていた、あのジュラルミンケース。 そのにある、私の同僚たちの名義や、莉緒が抱え込んだ借の本当の。 それをすべてに晒さなければ、私は、この連に怯えてきることになる。

「宇佐美さん……」

丈夫です。鍵は付け替えますから」

警官たちに引きずられるようにして、須藤が玄関をていく。 たいに連れされる瞬、須藤は振り返り、私に向けて、声にならないきでこう告げた。

——ぶっ殺すぞ。

扉が、い音をてて閉まった。

ガチャリ、と鍵をかける。 狭いDKのに、私と莉緒のだけが取り残された。

静寂が、のようにく部を満たしていく。 ざかるパトカーのサイレンの音が、音に混ざって微かに聞こえていた。

の隅で丸まっていた莉緒が、ゆっくりと顔をげた。 丁寧に塗られていたマスカラが涙で溶け、目の周りが黒くドロドロに崩れていた。

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「……茜、あんた、狂ってんの?」 莉緒の声は、掠れ、震えていた。 その響きには、先ほどまでの傲さは微もなく、ただ底れない恐怖と、理解能なものを見る怯えだけがこびりついていた。

「何で……何で警察なんか呼んだのよ! 拓真くんをらせたら、どうなるか分かってんの!? あの、ヤバいたちと繋がってんのよ! 私だって、借チャラにしてあげるって言われたから従ってただけなのに!」

私は靴を脱ぎ、ゆっくりと台所へがった。 の裏に、古いクッションフロアのたさがじわりと伝わってくる。

「莉緒」 私はを交えずに、淡々と言った。 「私の母の遺品、どこにやったの」

「は……?」 「畳半の押し入れにあった、母の裁縫箱と、アルバム。どこに捨てたの」

莉緒は私のあまりに平坦な問いかけに、呆然と目を見いた。 自分の置かれた破滅な状況と、私の関事のズレに、が追いついていないようだった。

「そんなの……らないわよ! ゴミ集積所に決まってんでしょ! 今朝の収集が、もう持ってったわよ!」 莉緒は切り声をげ、がった。 「そんなゴミのことより、どうすんのよこれ! 拓真くんが捕まったら、あのたちの借、全部私のとこに来るのよ! 万どころじゃないの! 千万以あるのよ! 茜、あんた責任取ってよ! あんたが余計なことしなきゃ、全部うまくいくはずだったのに!」

責任。 この女は、どこまで堕ちれば気が済むのだろうか。

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