物流倉庫の夜勤で稼ぎ、毎月五万五千円の家賃を同居人に手渡してきた。だが、ベランダの洗濯機の裏で見つけたのは、実際の家賃が一万九千八百円だと記された公団の通知書と、私の名前が勝手に書かれた退去届。部屋から母の形見の桐箱と実印が消え、玄関に二千円札を投げ捨てられて「出ていけ」と嗤われた時、奥から見知らぬ男の笑い声がした。私は昨日区役所で新しく登録し直した「別の印鑑」を、ポケットの中で静かに握りしめた。
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