"片親の分際で、100年早い" 第2話
写真に向かつぶやき、俺は部をた。
3の京はまだ肌寒さが残っていた。を乗り継ぎ、学付属病院の最寄り駅に着く。駅をると、巨な病院の建物が界にび込んできた。い壁が朝を反射し、まるでの塔のようにそびえっている。ここで働きたい。臓科の最先端を学び、いつか母のようなを救える医師になりたい。
正面玄関をくぐりながら、俺は拳を握りしめた。
病院のロビーには、すでにくの受験が集まっていた。スーツ姿の若者たちが緊張した面持ちで子に座っている。俺もそのの1として受付を済ませた。受付番号は17番。
面接の順番を待つ、俺は周囲を観察した。ほとんどが俺と同じ20代半の男女だが、には30代とおぼしきもいる。社会経験を経て医学部に入り直しただろうか。
「藤川くん」
名を呼ばれて振り返ると、見覚えのある顔があった。桐里佳。同じ学の医学部で6を共にした同期で、るい笑顔と肩まで伸びた黒髪が印象な女性だ。
「やっぱり来てたんだ。ここ、臓科の倍率いって聞いてるけど……」
里佳は俺の隣に座りながら、るい笑顔を見せた。里佳は学1の解剖学の実習で同じ班になって以来、何かと気にかけてくれるだった。俺が片親育ちであることを、里佳はっている。
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学2の、たまたま話の流れで母のことを話したことがある。
その、里佳は何も言わずに俺の話を聞いてくれた。同やれみでもなく、ただ静かに寄り添ってくれた。
里佳が緊張しているかと聞いてきた。正直に「しだけ緊張している」と答えると、彼女は励ますように言葉をねた。
「藤川くんなら丈夫だよ。だってみんなの学で5位だったでしょ。臨実習の評価もかったし。まあ、私は3位だったけどね」
いたずらっぽく笑う里佳に、俺は苦笑いを返した。彼女は優秀だ。成績だけでなく、患者との接し方も丁寧で、指導医からの評価もい。俺と違ってるく社交な性格が、医療現でも役っている。
里佳は表をしだけ曇らせ、気になる噂を教えてくれた。事部の戸塚という物がかなり厄介らしいという話だった。柄や経歴をし、親が医者かどうか、どこの学かをやたら気にするタイプだという。
俺の臓がわずかにねた。親が医者かどうか——俺の履歴には、父親欄が空で、母についてはくなったと記載している。片親であることがマイナスに働く能性があるということか。
里佳は俺の表を読み取ったのか、慌てて付け加えた。
「ごめん、にさせちゃったよね。でも、藤川くんの実力なら絶対丈夫だから! 成績とか実習の評価とか、ちゃんと見てくれるもいるはずだし」
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里佳が俺の肩を軽く叩いた。そののぬくもりが、わずかに緊張をらげてくれた。
やがて面接が始まった。受験は1ずつ呼ばれ、奥の面接へと消えていく。戻ってきたの表は様々だった。堵の表を浮かべる者。疲弊した顔でうつむく者。にはらかに揺している者もいた。
里佳の名が呼ばれた。彼女は俺にさくを振り、面接へと向かった。30分ほどで戻ってきた、その表はるかった。
「ったより穏やかだったよ。柴田さんって護部のがいて、すごく話しやすかった。戸塚っては、私のはあんまり質問してこなかったかな。ちらっと履歴見てただけ」
彼女の言葉に、俺はしだけした。戸塚が質問してこなかったということは、それほど厳しくないのかもしれない。そんな淡い期待を抱いた矢先、
「17番、藤川陽さん」
名を呼ばれ、俺はちがった。里佳がさく「頑張って」と支えてくれる。俺は軽く礼し、面接へと向かった。
ドアをノックし、「どうぞ」という声を聞いてから入する。面接はったより広く、いテーブルの向こうに3の面接官が座っていた。央に座るのは50代の男性。鋭い目つきとくなった髪。これが戸塚俊彦だろう。その隣には40代半の女性、柔らかな表の彼女が柴田護部と推測できた。
隣にはもう1、髪の男性がいる。