"片親の分際で、100年早い" 第4話
柄、経歴、バックグラウンド、そういったものを総に判断して初めて採用が決まるのだと。
「つまり、片親であることが利になるのか」
俺がそう問うと、戸塚は笑いを浮かべた。
「はっきり言おう。その通りだ」
その言葉が胸に突き刺さった。6の努力。寝るも惜しんで勉した々。全てが「片親」という言で否定されようとしている。
「今のところは次面接だ。次面接にめるかどうかは追って連絡する。期待しないで待っていてくれたまえ」
そう言って、戸塚は俺の履歴を乱暴にテーブルに置いた。面接はらかに打ち切られた。
「本はありがとうございました」
俺はちがり、く礼して面接をた。廊にると、全から力が抜けていくのをじた。里佳が駆け寄り、配そうに面接の結果を聞いてきた。
俺は壁にもたれかかりながら、「最悪だ」と吐き捨てるように答えた。戸塚の言葉がのでリフレインしている。
——片親で育ったは精神に定になりやすい。 ——庭環境が複雑なは関係に問題を抱えやすい。 ——期待しないで待っていてくれたまえ。
里佳が俺の腕にを置いた。そのぬくもりが、わずかにを落ち着かせてくれる。何と言われたのかと聞かれ、俺は正直に話した。片親だから利だと言われたこと。
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柄や経歴をするから、俺みたいなは期待するなと言われたこと。
里佳の顔がりで潮した。
「それって差別じゃない? 庭環境なんて本の努力とは関係ないのに!」
「分かってる。でもあいつが事部なんだ。あいつが採用を決める権限を持ってる」
俺は拳を握りしめた。悔しかった。6の努力がこんな形で否定されるなんて。
廊の窓から差し込む午のが、俺たちのをく伸ばしていった。病院内は相変わらず慌ただしく、の医師や護師たちがにき交っている。彼らは俺たちのことなど目に入っていないだろう。ここは彼らの職であり、俺たちは所詮、そのに入れてもらえるかどうかを試されているに過ぎない。
里佳が俺の隣に座り、黙って寄り添ってくれた。何も言わないでも、その沈黙がよかった。に慰めの言葉をかけられるよりも、こうしてそばにいてくれるだけで分だった。
しばらくして、の受験たちが続々と面接を終えて戻ってきた。表は様々だが、俺ほど暗い顔をしている者はいなかった。
その、スマホが震えた。画面を見ると、父からのメッセージだった。
《面接、どうだった?》
俺は返信を打とうとして、が止まった。何と言えばいい? 「片親だから差別された」なんて言えるわけがない。
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《まだ結果待ちです》
くそう返して、スマホをポケットにしまった。
3、結果が届いた。次面接へのが決定しました——。その文を見た、俺は信じられないいだった。あの面接の、確実に落とされるとっていた。しかし、俺は次面接にけた。おそらく、柴田護部や教授陣が押してくれたのだろう。1の判断では採用は決まらない。俺はまだチャンスを失っていなかった。次面接は1週。今度こそ実力で認めさせる。そう決して、俺は準備を始めた。
次面接の、俺のスマホに見らぬ番号からメッセージが届いた。
《藤川陽だろ。おのこと、ネットでさらされてるぞ》
何のことか分からず、指定されたURLをいた瞬、俺は凍りついた。医療系の掲示板に、俺の名と経歴がさらされていた。
《藤川陽、24歳。両親なし、奨学とバイトで学費を賄った学だが、メンタルが定との噂あり。こんなやつが医者になっていいのか?》
き込みには俺の顔写真まで添付されている。どこでに入れたのか、学の学証の写真だった。コメント欄にはない言葉が並んでいる。
「面接の点でアウトだろう」 「メンヘラ医者とか怖すぎ」 「こういうやつに見てもらいたくないわ。落とせ、落とせ」
スマホを持つが震えていった。誰がこんなことを? いや、考えるまでもなかった。
俺の経歴を詳しくっているのは面接官だけだ。戸塚——あいつが俺の報をリークしたのだ。