"3000万円と捨てられた母の罠" 第2話
あの荷物はいつのに準備されていたのだろう。 「ちょっと、私の荷物を……」 「お母さん、丈夫ですよ。必なものは全部入れてありますから」 さやかの声は優しかったですが、断固としていました。
はる子の首にプラスチックの腕輪がつけられた。認症だということだった。はる子はバッグをく握りしめた。そのに携帯話が入っている。誰かに話をしなければ。 しかし、さやかはそのバッグを指さして言いました。 「お母さん、携帯話は私が預かっておきますね。ここでなくしたら変ですから」 「いいえ、私が持っているわ」 はる子の声は震えていました。さやかは微笑みながらバッグを奪い取りました。はる子のから携帯話が消えた。その瞬、臓が凍りつくようでした。世界から切りされたような覚でした。
職員が類を再度確認しながら尋ねた。 「保護者の方の連絡先は、こちらにかれている番号でよろしいですか?」 「はい、そうです」 と、さやかと答えた。
職員が部を教えた。3階の301号。 はる子は戸惑いながら廊を歩いた。健とさやかがきから支える。エレベーターに乗った。3階に着いた。ドアがき、はる子がりた。健とさやかはりなかった。 「お母さん、すぐに来ますから」 健が言った。彼は目をわせようとしなかった。
広告
さやかははる子を見て微笑んだ。 「お母さん、今はまずに入って休んでくださいね」
ドアが閉まった。はる子はエレベーターので呆然とち尽くしていた。職員が腕を取って部まで案内した。301号のドアをけると、さな部が現れた。ベッドが2つとさな窓。それが全てだった。荷物はすでに部のに置かれていた。 「ごゆっくりお休みください。何かご用でしたら呼びしボタンを押してくださいね」 職員はていった。ドアが閉まった。
はる子は窓辺へ歩いていった。には駐が見える。黒いセダンが滑るようにていくのが見えた。健のだった。 はる子は廊へびした。エレベーターのまできましたが、ボタンを押してもドアはきませんでした。カードキーが必なのです。
ナースステーションのを通り過ぎました。職員が顔をげた。 「おばあちゃん、どちらへ?」 「息子が……息子が私を置いてってしまったの?」 はる子の声は震えていました。職員は困ったような顔をした。 「保護者の方々はお帰りになりました。またいらっしゃるといますよ」
嘘だった。はる子には分かった。職員の目を見れば分かった。 くでガチャンという音が聞こえた。玄関のドアが施錠される音だった。 はる子はそのにち、呼吸をえようとした。
広告
しかし、うまく息ができない。その瞬、はる子は確信した。——私は捨てられた。息子に捨てられたんだと。
涙がそうになりましたが、こらえました。泣いてはいけない。ここで崩れたら終わりだ。 はる子はゆっくりと部に戻った。ドアを閉め、ベッドに腰かけた。震えるでコートのポケットを探った。財布はありましたが、携帯話はありませんでした。
窓のではがり続いていた。いがので積もっていく。はる子は目を閉じ、そして再びいた。泣かないと決めました。その代わりに考えることにしたのです。どうやってここからるか、どうやってき延びるか。はる子のまなざしが変わりました。
最初の夜はそうして始まった。
朝7、廊からアナウンスが流れた。 「皆様、朝のです。堂へご移ください」 はる子はよく眠れませんでした。見慣れないベッド、見慣れない井、見慣れない匂い。親しいものは何もありませんでした。隣のベッドは空のままです。ルームメイトはいないようでした。
はる子は体を起こした。鏡を見ると髪が乱れていた。でえ、ドアをけた。廊には老たちが列をなして歩いていた。杖をついた、子の、職員に支えられている、皆が同じ方向へ向かっていきます。はる子もそのに続いた。
1階の堂に着いた。いテーブルがいくつも並んでいる。はる子はいている席に座った。配膳でカボチャがゆといくつかのおかずを受け取った。